坂本繁二郎

坂本繁二郎の生涯と業績

坂本繁二郎（さかもと はんじろう、1882年3[[月2日]] - 1969年7[[月14日]]）は、日本の洋画界において重要な地位を占めた画家である。福岡県久留米市に生まれた彼は、早くから絵の才能を発揮し、10歳で地元の画家・森三美に師事して絵の学びを始めた。坂本の父は久留米藩の中級武士であったが、彼が幼い頃に亡くなったため、画家としての道を選ぶ決意を固めることとなる。

坂本は高等小学校を卒業後、しばらくは絵画に専念し、1900年には母校で図画代用教員として教えることになった。この頃、彼は同じく久留米出身の画家・青木繁に出会い、青木の上京による画技の進展に触発され、坂本自身も上京を決意した。彼は1902年に上京し、小山正太郎の「不同舎」に入門。同年、坂本の作品は第1回文展に入選し、その後も順調に評価を得ていった。

1914年には文展からの独立を目指す二科会の創立にも関与し、次第に自らのスタイルを確立していった。1921年には渡仏し、シャルル・ゲランに師事するが、彼が強く惹かれたのはフランスの大自然であった。彼の画風は明るく、鮮やかな色彩を持つ作品へと変化し、特に1923年の『ブルターニュ』では物の形を単純化し、観る者の想像力を刺激する表現へと進化した。

坂本は1924年に久留米に戻り、以降は九州で創作活動を継続。1931年、友人の梅野満雄の援助を受けて八女にアトリエを構える。このアトリエは彼の創作の拠点となり、その後も多くの作品が生まれた。1942年には坂本の還暦を祝う特別展が開かれ、彼の作品群が集められた。

戦後は日本画壇における巨星として名を馳せ、1956年には文化勲章を受賞するなど、さまざまな栄誉に輝いた。彼は特に馬の絵を好んで描き、静物画や能面、月を題材にした作品でも独自のアプローチを示した。

さまざまな画風がある一方で、坂本は同時代の青木繁との関係が特に注目される。彼らはルーツを同じくし、しばしば比較や論じられることが多いが、坂本は青木の才能に対して独自の友情とライバル意識を持っていた。青木が亡くなると、坂本は彼の遺作展の開催に尽力し、その作品の保存を図った。

坂本繁二郎の代表作には、1937年の『水より上がる馬』や、アーティゾン美術館にある1932年の『放牧三馬』があり、彼の独自の美的感覚と技術が示されている。著書や画集も多く、画論についての洞察も文献として残されている。彼の業績は日本の洋画史に不可欠なものであり、その影響は未だに色あせていない。

坂本繁二郎は1969年に87歳でこの世を去り、彼の遺体は八女市の無量寿院に埋葬されている。生涯を通じて多くの作品を残し、後世に大きな影響を与えた彼の存在は、今でも多くの美術愛好家に尊敬されている。

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