小出廉二

小出 廉二

（こいで れんじ）

日本の法学者、教育者（1895年10月11日 - 1994年12月14日）。明治大学法学部長、同学長を務めた。岡山県新見市の出身。

生涯

幼少期から大学まで

岡山県新見市の中心部から北へ約4キロメートル離れた地域で生まれ育ち、幼少期には中心部にある小学校へ毎日徒歩で通った。農閑期に上演される備中神楽を深く愛し、自ら演者としても活動したという。

旧制岡山県立高梁中学校（現在の岡山県立高梁高等学校）に進学し、縁戚の家に下宿しながら通学した。中学卒業後は旧制第一高等学校に進んだ。一高への進学は、自身の小学校の先輩の影響があったと語っている。また、ある教え子は、入学前に一高校長を務めていた新渡戸稲造への憧れも動機の一つだったと記している。一高進学後、小出は新渡戸を囲む一高関係者の集まりである「アゼリア会」に参加した。

一高卒業後は東京帝国大学法学部に進み、大学卒業後は同大法科大学院で学んだ。1926年（大正15年）に大学院を修了。同じ岡山県出身で明治法律学校を卒業した弁護士の小出五郎に見込まれて養子となり、これが明治大学と関わる契機となった。東京帝国大学では、穂積重遠に師事し、河合栄治郎からも学問的な影響を受けたとされる。

明治大学での教員・行政経験

1925年（大正14年）4月から明治大学法学部で教壇に立ち始めた。明治大学での専門は民法、特に財産法分野の研究に精力的に取り組んだ。太平洋戦争末期の1944年、学生と共に石川島造船所へ勤労動員に駆り出され、過労と心労から体調を崩した。戦後しばらくは赤倉で静養を余儀なくされた。

終戦後、明治大学の名誉教授となりながらも、大学の運営・行政に関わる機会が増えた。大学理事を三期務める間に、法科専門部長、図書館長、法学部長（1954年10月～1960年3月）といった要職を歴任した。

学長時代と晩年

1960年に明治大学学長に就任したが、任期中は60年安保闘争や学費値上げ反対運動など、激しい大学紛争に直面することとなった。当時学生として学費値上げ反対闘争に関わった重信房子は、小出について「比較的民主的な考えの持ち主」であり、「自ら60年安保に際して学生に国会へのデモを呼びかけ、紫紺の校旗を掲げたデモの先頭に立った人物として知られていた」と記している。1967年に学長を退任した。小出自身は「定年退職」としているが、教え子である鍛冶良堅は、一連の大学紛争の責任をとる形での退任だったと見ている。

学長退任後も、NHKなどのメディアに出演した。学生運動が盛んだった1968年には、自身の学長時代の経験に基づき、当時の学長の苦労をメディアで語っている。1966年には勲二等旭日重光章を受章した。

1978年2月18日には、長年の功績が称えられ、出身地である新見市より新見市名誉市民の称号が贈られた。

1994年12月14日、満99歳でその生涯を終えた。

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