神楽

神楽（かぐら）

神楽は日本の神道における重要な儀式で、神に奉納するために演じられる歌舞のことを指します。この伝統芸能は、神社の祭礼や、まれに仏教寺院でも披露されることがあります。形態としてはいくつかの系統に分かれ、特に平安時代中期にはその様式が確立されたとされています。現在確認されている神楽歌の数は約90首に及びます。

概要

神楽は通常、神社内に存在する「神楽殿」で行われます。「かぐら」という名称は「神座」（かむくら・かみくら）に由来すると言われており、これは神が宿る場所や、魂を鎮めたり呼び寄せたりするための場所を意味します。この神座で巫女や巫が人々の穢れを浄化したり、神々と交流を求めたりする場面が広がり、神楽が生まれたとされています。

古事記や日本書紀には、アメノウズメの舞が神楽の起源として記されています。彼女の子孫とされる猿女君が宮中での儀式に関わっていたこともあり、本来神楽が招魂や鎮魂のために行われた神遊びであったことを示唆しています。神楽は主に宮中の御神楽と民間の里神楽に分類され、近年では新たに作られた神楽も見受けられます。

2022年10月時点で、重要無形民俗文化財に指定されている神楽は40種類あり、そのうち20都道県で29の神楽が保存活動を行う71団体と地方自治体が「全国神楽継承・振興協議会」を設立しました。特に宮崎県では22市町村に204の神楽が存在しますが、地方の人口減少に伴い存続が危ぶまれる状況です。

神楽殿

神楽を実施するための施設は神楽殿（神楽堂や楽殿とも呼ばれる）と呼ばれ、特に舞楽専用の施設は舞殿と区別されます。里神楽では多目的に使用される舞台が設けられ、演舞、音楽会、さらにはコンサートなど多様なイベントで活用されています。

御神楽と里神楽

御神楽は主に宮中で、特に賢所で行われる神楽で、歴史的には「内侍所御神楽」とも言われています。雅楽の一部として、大嘗祭などの特殊な祭事に関連して行われてきました。隔年で行われていたのが、後に年に一度の行事となり、現代でも毎年12月中旬に簡略化された形で行われています。

一方、一般に「神楽」と称されるものは里神楽を指し、民間で行われる神楽がその中心です。特に関東地方の神楽が一般的に里神楽として認識されています。文化研究者によって様々な系統に分類されましたが、地域によってその要素が混在するため、最近では分類の見直しも議論されています。

神楽の系統

1. 巫女神楽：神懸かり系・早乙女系の神楽で、特に巫女が舞う形態が特徴です。
2. 採物神楽：出雲地方を起源とし、神話や神社の物語に基づく演劇性と娯楽性を兼ね備えています。
3. 湯立神楽：伊勢外宮に由来し、「湯立」が特徴的で、巫女が神聖な湯で清める儀式が含まれます。
4. 獅子神楽：獅子舞の一種で、獅子頭が神体とされ、祈祷やお払いを行います。

神楽面

神楽では、特別な面が様々な地方で使用されます。宮中の御神楽では面は使われないが、里神楽では独自の神楽面が存在し、そのデザインやスタイルは地域によって異なります。特に、鬼面などが特色のある神楽面として知られています。

太神楽

太神楽は伊勢神宮や熱田神宮が行う派生形で、地域を巡り神札を配布し、悪霊を払うための祭りです。この神楽は獅子舞や曲芸が合わさったもので、特に江戸時代からの寄席で演じられることが多いです。神楽は日本の伝統文化における重要な要素であり、地域や形式に応じて多様な表現が見られます。

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