小品集 (アリストテレス)

『小品集』について

『小品集』、またの名を『小論考集』は、アリストテレスの名のもとに編纂された著作群の一つです。ただし、この作品群は実際にはアリストテレス自身の手によるものではなく、彼の学派の後輩たちによって書かれたと考えられています。そのため、偽書であるとの解釈が特に有力視されています。この作品は動物学に関連する著作群の後に編纂され、残る自然学の関連著作の中から『問題集』を除いた9篇が収められています。

構成

『小品集』は以下の9つの篇から成り立っています。

1. 『色について』（希: Περὶ χρωμάτων、羅: De Coloribus、英: On Colors）
色の性質や存在についての考察をまとめたものです。

2. 『聞こえるものについて』（希: Περὶ ακουστῶν、羅: De audibilibus、英: On Things Heard）
音の性質やその聞こえ方に関する詳細な考察が含まれています。

3. 『人相学』（希: Φυσιογνωμονικά、羅: Physiognomonica、英: Physiognomonics）
人の外見から性格や心の状態を推測する方法についての議論です。

4. 『植物について』（希: Περὶ φυτῶν、羅: De plantis、英: On Plants）
植物に関する知識やその特性についての考察を収めています。

5. 『異聞集』（希: Περὶ θαυμασίων ἀκουσμάτων、羅: De mirabilibus auscultationibus、英: On Marvellous Things Heard）
驚くべき現象や耳にした不思議な話を集めた作品です。

6. 『機械学』（希: Μηχανικά、羅: Mechanica、英: Mechanics）
機械や運動に関する理論や実例について論じています。

7. 『不可分の線について』（希: Περὶ ἀτόμων γραμμῶν、羅: De Lineis Insecabilibus、英: On Indivisible Lines）
数学的概念としての不可分性についての考察が行われています。

8. 『風の方位と名称について』（希: Ἀνέμων θέσεις καὶ προσηγορίαι、羅: Ventorum Situs et Cognomina、英: The Situations and Names of Winds）
風の方向やその名称に関する詳細な情報をまとめています。

9. 『メリッソス、クセノパネス、ゴルギアスについて』（希: Περὶ Μελίσσου, Ξενοφάνους καὶ Γοργίου、羅: De Melisso, Xenophane, and Gorgia、英: On Melissus, Xenophanes, and Gorgias）
それぞれの哲学者についての議論が展開されています。

内容の重要性

この『小品集』は、アリストテレスの思想やその後の哲学的議論に多大な影響を与えました。特に、自然界の様々な側面やそれに関する思索は、後の科学や哲学の基礎となる部分が多く含まれています。

参考文献

• - 『アリストテレス全集10』 岩波書店、1969年
• - 『新版 アリストテレス全集12 小論考集』 岩波書店、2015年

このように、『小品集』はアリストテレスの哲学的遺産を理解する上で欠かすことのできない重要な資料となっています。彼の後継者たちの解釈や探求が含まれているため、単なる著作ではなく、当時の知的背景や哲学的対話の様子を窺い知るための貴重な文献でもあります。

もう一度検索