小国両神社

小国両神社：開運招福と歴史と伝統の息づく神社

熊本県阿蘇郡小国町宮原に鎮座する小国両神社は、古くから地域の人々に信仰を集める神社です。開運招福の逸話や、独特の祭事、そして無形民俗文化財に指定されている神事芸能など、見どころが満載です。

神話と歴史

社記によると、小国両神社の起源は、太古の昔に阿蘇を開拓した健磐龍命から小国郷開拓の命を受けた兄弟神、高橋大神と火宮大神に遡ります。彼らは農耕を伝え、人々の生活基盤を築いたとされています。

高橋大神は仁徳天皇の時代、馬がつまずく現象から、その地の主神として祀られることになりました。一方、火宮大神は反正天皇の時代、水がなく火が燃える土地で神託を受け、高橋大神とともに祀られることとなりました。

阿蘇地方の神話では、健磐龍命は高橋大神と火宮大神の祖父神にあたるとされ、国造神社に祀られる神々とのつながりも示唆されています。

平安時代から鎌倉時代にかけて社殿が造営されましたが、戦乱によって幾度となく被害を受け、現在の社殿は近世以降に再建されたものです。幾度かの改築や、台風による被害からの再建を経て、現在の姿が保たれています。

祭神と境内

小国両神社の主祭神は高橋大神と火宮大神です。その他、多くの神々が配祀されています。境内には、鳥居、手水舎、楼門、拝殿、本殿、神輿庫、そして複数の境内社があります。拝殿には大きな奉納絵馬が掲げられ、本殿には「高橋宮」と「火宮」の扁額が掲げられています。

境内社には、天神社、多賀社、そして7月に行われる宮原祇園社獅子舞で知られる祇園社があります。

富くじと開運招福

江戸時代には、小国両神社でも富くじが行われていました。この富くじにまつわる逸話が残っており、商人たちが日々の商売繁盛を祈願し、幸運を掴んだ話が伝えられています。

特に、湊屋という酒屋の主人が毎朝三社参りを欠かさずに行い、富くじで大当たりした話は有名です。このことから、小国両神社の祭神は「千両万両の神様」として、現在も開運招福のご利益があると信仰されています。

祭事

小国両神社の例祭は10月に行われ、古式ゆかしい神幸行列が繰り広げられます。神幸行列の先導役を務めるのは、中原楽と下城楽という神事芸能です。行列は、南小国町の市原まで赴き、その後宮原町に戻ります。例祭期間中には、神楽なども奉納されます。

神事芸能

小国両神社では、中原楽と下城楽、そして宮原祇園社獅子舞という3つの神事芸能が奉納されます。これらは、いずれも小国町の無形民俗文化財に指定されており、地域の伝統文化として大切に受け継がれています。

中原楽: 瓜上と上中原の住民によって伝承される神事芸能。豊作への感謝と五穀豊穣を祈願する舞です。

下城楽: 本村と坂下地区の住民によって伝承される神事芸能。400年の歴史を持つ伝統芸能で、独特の衣装と囃子、そして舞が特徴です。

* 宮原祇園社獅子舞: 祇園社で7月に行われる獅子舞。悪病退治や魔除けを願う、約300年の歴史を持つ伝統芸能です。

これらの神事芸能は、小国両神社の歴史と信仰を象徴する貴重な文化遺産であり、現在も地域住民によって大切に受け継がれています。小国両神社は、歴史と伝統、そして人々の信仰が深く根付く、魅力あふれる神社と言えるでしょう。

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