小国道路

小国道路とは

小国道路（おぐにどうろ）は、新潟県岩船郡関川村大字金丸を起点とし、山形県西置賜郡小国町大字松岡を終点とする区間で、現在建設が進められている国道113号のバイパス道路です。この道路は、地域高規格道路「新潟山形南部連絡道路」を構成する重要な一部として計画、推進されています。

事業の目的と期待される効果

小国道路は、新潟山形南部連絡道路全体のネットワーク強化という大きな枠組みの中で位置づけられています。この地域は冬季の降雪量が多く、既存の国道113号では積雪や路面凍結による交通規制が発生しやすい状況にあります。小国道路の整備によって、こうした冬期の交通障害を受けにくい、より信頼性の高い道路ネットワークを確保することが第一の目的です。これにより、年間を通じて安定した物流や人流が可能となり、地域の経済活動を支えます。

また、本道路は県境を跨いだ広域的な連携を促進する役割も担います。新潟県下越地域と山形県置賜地域を結ぶ主要な幹線道路として、両県に存在する多様な観光資源を結びつけ、広域観光ルートの形成や周遊性の向上を支援することが期待されています。これにより、地域間の交流が活発化し、観光振興や地域経済の活性化に繋がることが見込まれます。さらに、災害時における緊急輸送路としての機能強化も期待され、地域の防災能力向上にも貢献します。

路線概要

小国道路の計画されている主な路線データは以下の通りです。

起点: 新潟県岩船郡関川村大字金丸
終点: 山形県西置賜郡小国町大字松岡
総延長: 約12.7キロメートル
道路規格: 第1種第3級
道路幅員: 土工部では13.5メートル、橋梁部およびトンネル部では12.0メートルが確保されます。
車線数: 上下線各1車線の合計2車線で計画されています。
車線幅員: 3.5メートル
設計速度: 時速80キロメートル

これらのデータは、地域の主要幹線道路として、将来の交通量や広域的な移動ニーズに対応できる十分な容量と機能を備えることを目指した設計であることを示しています。

事業の進捗状況

小国道路の整備事業は、以下の経緯で進められています。

2019年度: 国により事業化が決定し、具体的な計画策定や調査が開始されました。
2021年度: 道路建設に必要な用地の取得手続きや、これに関連する準備作業が着手されました。
2023年11月12日: 終点側の山形県内区間、約10.6キロメートルにおいて、本格的な工事が開始されました。

現在も、全線開通を目指して、関係機関と地域が連携しながら事業が推進されています。

主要な構造物

全長約12.7キロメートルのルートには、山間部や河川、既存交通路との交差部などを通過するため、複数のトンネルや橋梁が計画されています。これらは全て計画段階での仮称ですが、特に重要な構造物としては以下のものが挙げられます。

（仮称）県境トンネル (長さ 1,557メートル)
（仮称）玉川橋 (長さ 90メートル)
（仮称）小国トンネル (長さ 2,997メートル)
（仮称）横川跨線橋 (長さ 272メートル)
（仮称）増岡跨道橋 (長さ 43メートル)
（仮称）田沢川橋 (長さ 34メートル)
（仮称）大沢川橋 (長さ 32メートル)
* （仮称）松岡跨線橋 (長さ 121メートル)

これらの大規模構造物は、ルート上の地形的制約を克服し、安全で円滑な交通流を確保するために不可欠な要素となります。特に、計画されているトンネルは比較的長大であり、地域の自然環境への影響を考慮した設計が求められます。

まとめ

小国道路は、新潟県と山形県の県境地域における国道113号の利便性・信頼性を大幅に向上させることを目指す重要なプロジェクトです。地域高規格道路「新潟山形南部連絡道路」の一部として、冬季の交通確保、地域間交流の促進、観光振興、防災機能強化など、多岐にわたる効果が期待されています。現在事業が進行中であり、全線開通によってこの地域の社会経済活動に新たな活力がもたらされることが待望されています。事業推進は国土交通省北陸地方整備局および東北地方整備局が連携して担っています。

もう一度検索