小宮義孝

小宮義孝について

小宮義孝（こみや よしたか、1900年2月18日 - 1976年2月4日）は、日本を代表する寄生虫学者で、その研究は寄生虫に関する理解を深め、医学界における社会医学の発展に寄与しました。

略歴

彼は埼玉県で生まれ、旧制熊谷中学校や第一高等学校を経て、1925年に東京帝国大学医学部を卒業しました。その後、同大学の衛生学教室で助手として活動し、国崎定洞の影響を受けて社会医学の道を志しました。1931年には上海自然科学研究所に参加し、寄生虫に関する研究に従事。1932年には、寄生虫に関連する「鐵筋コンクリート建病室に於ける換気に関する研究」で医学博士の称号を取得しました。

戦後は群馬大学医学部の教授に就任し、1949年からはさまざまな研究機関において寄生虫学の発展に尽力しました。1952年には目黒寄生虫館の評議員を務め、1966年には国立予防衛生研究所の所長に就任。また、1967年には日本寄生虫学会の名誉会員に選ばれ、学術界におけるその地位を確立しました。また、1964年には第8回野口英世記念医学賞を受賞し、その業績が広く認められました。

小宮は戦前、マルクス主義者として知られ、戦後も早期から中華人民共和国を訪れるなど、国際的な視点を持った学者でした。彼の多様な経験は、寄生虫学における幅広い研究と実践に生かされました。

主な著書

小宮義孝の著作は多岐にわたり、寄生虫学に関する貴重な資料として評価されています。彼の著書には、1944年に出版された『農暦新春』や、1949年の『城壁 中国風物誌』、1956年の『集団検便・集団駆虫指針』、1958年の『鉤虫と鉤虫症』などがあります。さらに、彼は『新中国風土記 上海自然科学研究所のことども』や『魚の体温 その他』といった書籍も手掛け、特に寄生虫の生態やその影響に関する研究に重きを置いていました。

また、彼は共編著として1931年に出版された『日本プロレタリア編年史』や1961年から1965年までの間に合冊された『日本における寄生虫学の研究』全5巻にも寄与し、日本の寄生虫学の発展に大きな影響を与えました。

さらに、彼はエンゲルスの翻訳、特に『老戦友に与ふ ベツカーへの「忘れられた手紙」』や『住宅問題』などの翻訳を手掛け、社会問題に対する深い理解を示しています。

参考文献

小宮義孝の貢献については、鈴木了司による「小宮先生と私：科学の社会への役割」という著作や、デジタル版日本人名大辞典の情報が参考になります。また、小宮が残した研究遺産はインターネット上でもアクセス可能な資料として多くの人々に利用されています。

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