小山悌

小山悌 (こやま やすし) に関する詳細

小山悌（1900年-1982年）は、日本の航空機技術者及び実業家として著名であり、戦前の日本航空機産業において重要な役割を果たしました。彼は中島飛行機で戦闘機の設計に携わり、その成果は当時の陸軍航空部隊に大きな影響を与えました。特に、九七式戦闘機や一式戦闘機「隼」、さらに四式戦闘機「疾風」といった名機の設計において主導的な立場にあった人物です。

学歴と初期のキャリア

小山は、第二高等学校を経て1922年に東北帝国大学工学部機械科に進学しました。卒業後は大学の理学部の助手を務めた後、1925年に帝国陸軍に入隊しました。彼が航空機設計に興味を持つきっかけとなったのは、軍務中に訪れた叔父の家で中島飛行機の創業者である中島知久平からの影響でした。この経験から、彼は中島飛行機へと進む道を選びます。

1926年には中島飛行機製作所に入社し、フランスの航空技術に関する知識を活かしながら、設計技術を磨きました。彼のフランス語の能力は、当時の日本航空機産業において非常に重要なものであり、外国の資料を翻訳することでも貢献しました。

戦闘機の設計と業績

小山は入社直後から航空機設計に顔を出し、29歳の時にはすでに陸軍の次世代主力戦闘機の開発に関与していました。彼の手がけた試作機は陸軍に採用され、その後の九一式戦闘機の誕生につながりました。さらに、彼は全金属製の九七式戦闘機や戦争中に活躍した一式戦闘機「隼」、さらには四式戦闘機「疾風」など、数々の重要な航空機の設計主務者としての地位を築きました。

特に四式戦闘機「疾風」は、日本軍における最優秀戦闘機と称賛され、その設計においても中心的な役割を果たしました。このように小山は、日本航空機技術の発展に多大な貢献をし続けました。

戦後の経歴

戦後、小山は中島飛行機の黒沢尻製作所での職に就きましたが、当時の状況から公職追放を受け林業機器の技術者として活動することとなります。1952年には追放解除がなされ、岩手富士産業の取締役に就任し、そこで20年以上にわたり林業機器の技術者としてのキャリアを歩みました。

彼は林業の重要性について強く認識しており、日本の国力回復には山林の開発が必要であると信じていたと語っています。このような考えは、彼自身が戦後に林業分野に身を置いたことと深く関連しており、彼の仕事の好き嫌いも反映されていたのでしょう。

結び

小山悌は、戦前の航空機産業での高い地位と技術力を持ちながら、戦後は静かに過ごした人物でした。彼の活動や業績について多くは語られることなく、メディアでの露出も少なかったため、知名度は低いものでした。しかし、その功績は戦前の日本航空機産業の発展において非常に重要であり、今もその影響が残っています。1982年に没した彼は、航空機開発の裏側に隠れた偉大な技術者として記憶されているのです。

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