小山田与清

小山田与清（おやまだ ともきよ）

小山田与清は、江戸時代後期の国学者であり、天明3年（1783年）に武蔵国多摩郡上小山田村（現在の東京都町田市）で生まれました。幼名は貴長、通称は寅之助、庄次郎、仁右衛門、茂右衛門、六郎左衛門、将曹など、多くの名前を持っていました。字は文儒、号は松屋、玉川亭、擁書倉、知非斎、報国恩舎など、こちらも多彩です。

生涯

小山田与清は、郷士である田中本孝と平戸稲子の次男として誕生しましたが、程なくして母親を亡くしました。享和元年（1801年）には江戸に出て、国学を村田春海に、漢学を古屋昔陽に師事し、学問に励みました。同3年（1803年）には、豪商である高田与成の養子となり、高田六郎左衛門と名乗ります。養家は、見沼通船の差配役という要職にあり、経済的に豊かでした。与清は、その財力を用いて書籍を買い集め、古典や有職故実の研究に没頭しました。

文政8年（1825年）に家督を譲って隠居すると、高田姓から小山田姓に復し、小山田将曹と改名しました。しかし、書籍蒐集が嵩み、養家の財政を逼迫させてしまいます。晩年は病に苦しみ、近隣の火災による混乱で蔵書の一部が散逸するなど、不遇な時期を過ごしました。弘化4年（1847年）、自宅で病没。辞世の句として「持たるもの 身もいま捨てつ 御ほとけを 頼む心の 種は残らじ」を残しました。戒名は天真院性誉知非文儒居士です。墓所は東京都豊島区の染井霊園にあります。大正7年（1918年）には、その功績が認められ、正五位を追贈されました。

業績

文化12年（1815年）、小山田与清は自らの蔵書を保管するための書庫「擁書楼」を完成させました。最盛期には5万巻もの蔵書を誇り、国学者たちの閲覧や貸し出しに利用されました。与清の死後、蔵書は子息の与叔によって管理されました。天保2年（1831年）には、水戸藩主・徳川斉昭の招聘を受け、江戸彰考館に出仕。文集の編纂や注釈、和歌の添削、有職故実の調査などに携わり、後期水戸学に大きな影響を与えました。

与清の門人には、伊能穎則などがいます。また、明治から昭和にかけて活躍した政治家、高田早苗は子孫にあたります。

著書

小山田与清は、数多くの著作を残しました。主なものとしては、以下のものが挙げられます。

『群書捜索目録』
『松屋叢話』
『松屋筆記』
『擁書楼日記』
* 『擁書漫筆』

これらの著作は、当時の国学研究において重要な資料となっています。

蔵書家としての側面

小山田与清は、単なる学者としてだけでなく、稀代の蔵書家としても知られています。書籍を蒐集するだけでなく、それらを研究資料として活用し、多くの学者に開放しました。彼の蔵書は、当時の学術研究を支える上で、非常に重要な役割を果たしたと言えるでしょう。また、その蔵書は、現在の研究者にとっても貴重な資料となっています。

まとめ

小山田与清は、江戸時代後期を代表する国学者であり、蔵書家でした。その生涯は、学問と書籍への情熱に満ちていました。彼の研究は、国学の発展に大きく貢献し、その蔵書は後世の学術研究に多大な影響を与えました。小山田与清の業績は、日本の文化史において、特筆すべきものと言えるでしょう。

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