小山豊

小山豊：伝統と革新を融合する津軽三味線奏者

小山豊氏は、津軽三味線小山流三代目家元として、国内外で活躍する津軽三味線奏者です。1981年東京生まれ。6歳から祖父である初代家元小山貢翁に師事し、幼少期より津軽三味線の道へ進みます。名門の家系に生まれ育ち、伝統的な音楽を学ぶ一方、中学校ではブラスバンド部、高校ではバンド活動にも参加するなど、多様な音楽に触れてきました。

幅広い音楽性とジャンルを超えたコラボレーション

小山氏の音楽性は、伝統的な津軽三味線にとどまりません。幼少期から民謡やクラシック音楽に触れ、趣味のスケートボードを通じて培ったサブカルチャーへの造詣も深く、パンク、ロック、ヒップホップなど様々な音楽ジャンルから影響を受けています。特にHi-STANDARDやNitin Sawhneyには大きな影響を受けたと語っています。インド音楽、フラメンコ、ラテン音楽、ワールドミュージックといった多様な音楽要素を、津軽三味線という枠組みの中で独自の解釈で表現することで、唯一無二の音楽世界を築き上げています。

その才能は、数々のコラボレーションにも表れています。嵐の楽曲参加やコンサートでの和楽器隊リーダーを務めた経験、松山千春の全国ツアーへの参加、そして、近年では『ずっと真夜中でいいのに。』との共演など、ジャンルを問わず積極的に活動しています。また、ゲーム音楽やアニメ『鬼滅の刃』への参加など、その活躍は多岐に渡ります。2020年にはメジャーデビューアルバム『~obi~』をリリース。2021年にはWOWOWドラマ『向こうの果て』の主題曲と演奏指導も担当しました。

さらに、小泉今日子をプロデューサーに迎えたユニット『tagayas』や、新たな民謡の形を提唱するバンド『東京民謡倶楽部』を結成するなど、音楽活動の幅を広げ続けています。

伝統の継承と新たな表現

小山氏は、単に伝統音楽を演奏するだけでなく、伝統を継承しつつ、現代的な感性を融合した独自の音楽表現を追求しています。ジャズセッションや地中海沿岸の古楽器とのコラボレーションなど、常に新しい表現方法を探求し続けています。また、情景描写を重視した演奏スタイルや、民謡の“唄付け”を究極のセッションと捉えるなど、独自の音楽哲学を確立しています。

近年では“和の文化の日常化”をコンセプトにした祭りイベント『MINYO BLOCK PARTY』をスタートさせ、津軽三味線や民謡の魅力を広く伝える活動にも力を入れています。

国際的な活躍

小山氏の活動は日本国内にとどまりません。2000年代初頭から海外公演を積極的に行い、これまでに30カ国以上で演奏活動を行ってきました。ニューヨーク・カーネギーホールでの公演はニューヨーク・タイムズ紙で絶賛されるなど、国際的な評価も高いです。

まとめ

小山豊氏は、伝統的な津軽三味線の技術と、多様な音楽ジャンルへの深い理解を兼ね備えた稀有な音楽家です。その活動は、伝統音楽の継承と革新を同時に追求する、現代における音楽家の理想像を示しています。伝統と現代、そして様々なジャンルの融合によって生まれる彼の音楽は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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