小山重郎

小山重郎（こやま じゅうろう）

日本の昆虫学者、農学者。
1933年9月19日生まれ。作物の害虫防除研究に生涯を捧げ、日本の農業に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

宮城県で生まれ、東北大学大学院理学研究科博士課程を修了しました。1972年には「コブアシヒメイエバエの群飛に関する生態学的研究」で東北大学より理学博士号を授与されています。

研究活動

秋田県農業試験場、沖縄県農業試験場、農林水産省九州農業試験場、同四国農業試験場、同蚕糸・昆虫農業技術研究所など、数々の研究機関で害虫防除の研究に携わりました。特に、ミカンコミバエやウリミバエといった、農作物に大きな被害をもたらす害虫の根絶に向けた研究で顕著な業績をあげています。

1991年に退職後も、秋田市に在住し、研究活動を続けています。

受賞歴

1985年には、ミカンコミバエ根絶の記録をまとめた『よみがえれ黄金の島』で日本科学読物賞を受賞しました。また、2003年11月には、長年の研究功績が認められ、瑞宝中綬章を受章しています。

著書

小山重郎は、研究成果をまとめた著書を多数発表しています。

『よみがえれ黄金(クガニー)の島 ミカンコミバエ根絶の記録』(ちくま少年図書館) 筑摩書房, 1985
『530億匹の闘い ウリミバエ根絶の歴史』 築地書館, 1994
『害虫はなぜ生まれたのか 農薬以前から有機農業まで』 東海大学出版会, 2000
『昆虫と害虫 害虫防除の歴史と社会』 築地書館, 2013

これらの著書は、害虫の生態や防除に関する深い知識を一般読者にも分かりやすく伝えています。特に、『よみがえれ黄金の島』や『530億匹の闘い』は、ミバエとの闘いをドラマチックに描き、多くの読者に感銘を与えました。

翻訳

海外の害虫防除に関する重要な書籍の翻訳も手がけており、日本の研究者や一般読者に最新の知識を提供しています。

E.F.ニップリング『害虫総合防除の原理』小山晴子共訳, 東海大学出版会, 1989
E.F.ニップリング『寄生虫放飼による害虫防除法の原理』小山晴子共訳, 東海大学出版会, 1996
アンドレイ K.ブロドスキイ『昆虫飛翔のメカニズムと進化』小山晴子共訳, 築地書館, 1997
ロバート・ノリス, エドワード・カスウェル-チェン, マルコス・コーガン『IPM総論 有害生物の総合的管理』小山晴子共訳, 築地書館, 2006
ダン・リスキン『母なる自然があなたを殺そうとしている』 築地書館, 2014
トーマス・D・シーリー『野生ミツバチとの遊び方』 築地書館, 2016
* エミリー・モノッソン『闘う微生物 抗生物質と農薬の濫用から人体を守る 人体と土壌の微生物群への無差別攻撃を終わらせる』 築地書館, 2018

これらの翻訳書は、海外の最先端の研究動向を日本の読者に伝え、害虫防除分野の発展に貢献しています。

研究への貢献

小山重郎は、長年にわたり、日本の農業における害虫問題に真摯に取り組み、その解決に大きく貢献しました。彼の研究は、害虫防除の歴史において重要な役割を果たし、農薬に頼らない持続可能な農業の実現に向けて、大きな影響を与え続けています。

特に、ミバエの根絶に関する研究は、国内外で高く評価されており、その功績は後世に語り継がれるでしょう。

もう一度検索