小岩市川関所

小岩市川関所について

小岩市川関所は、かつて現在の東京都江戸川区北小岩に位置していた関所です。江戸時代初期の1616年（元和2年）に、江戸幕府によって小岩と対岸の市川を結ぶ江戸川の渡船場（小岩市川渡し）に番所が設けられたのが始まりです。その後、万治年間（1658年～1661年）に関所へと昇格しました。

関所の重要性

「諸国御関所書付」によると、小岩市川関所は、房川渡中田[[関所]]、金町松戸関所、小仏関所、新郷川俣[[関所]]と並び、江戸幕府にとって非常に重要な関所の一つでした。関所を通行するには、名主が発行した手形や通行証明書が必要とされ、厳重な管理体制が敷かれていました。関所では、陸路における「入鉄炮に出女」の取り締まりだけでなく、江戸川を往来する船の監視も行われていました。関所は1869年（明治2年）に廃止され、1904年（明治37年）には小岩市川渡し自体も廃止されました。

御番所町

小岩市川関所が設置された場所は、佐倉道と元佐倉道が合流し、岩槻街道にも接続する交通の要衝でした。そのため、江戸時代には御番所町（ごばんしょまち）と呼ばれ、多くの人々が行き交う場所でした。現在では、京成電鉄江戸川駅から南へ蔵前橋通りに至る道路の一部が、史跡として江戸川区登録文化財に指定されています。

小岩・市川戦争

1868年（慶応4年）5月24日、小岩市川関所周辺は、新政府軍と江原素六率いる旧幕府軍との間で激しい戦闘が行われた場所でもあります。この戦いでは、旧幕府軍が敗退し、中山方面へと撤退しました。その後、船橋でも戦闘が行われました。この戦いは、戊辰戦争における重要な局地戦の一つとして知られています。

市川市側の状況

江戸川を挟んだ対岸の千葉県市川市側には、市川関所跡の碑が残されており、かつてここに重要な関所があったことを示しています。

参考文献

江戸川区教育委員会編　『江戸川区の史跡と名所』、江戸川区教育委員会、2000年、12-13頁
大島延次郎　『改訂版　関所』、新人物往来社、1995年、209-211頁。
東京都歴史教育研究会編　『東京都の歴史散歩　上　下町』、山川出版社、2005年、172頁
別所光一・丸山典雄　『江戸川区の歴史』、名著出版、1978年、76-82頁、122-123頁。

関連項目

日本の交通
江戸川
渡船
市川・船橋戦争
* 市川橋 (江戸川)

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