新郷川俣関所

新郷川俣関所

新郷川俣関所（しんごうかわまたせきしょ）は、江戸時代に設置された関所で、武蔵国と下野国を結ぶ重要な拠点でした。具体的には、利根川堤防に位置し、今日の埼玉県羽生市上新郷と群馬県邑楽郡明和村の境界地帯に存在していました。この関所は、利根川を越えて日光への道をつなぐ日光脇往還（別名、日光裏街道）の一部を形成し、関所の役割を果たしていました。

概要と歴史

この関所は元和2年（1616年）に徳川家康の指示で設置され、江戸から36里の位置にあり、月に6回の定期便が運行されていました。初めは「川俣関所」として知られていましたが、幕末には「新郷川俣関所」と呼ばれるようになりました。関所の管理は、慶長15年（1610年）から忍藩主の阿部氏が担当し、文政6年（1823年）には松平忠堯が地方を治めていましたが、明治2年（1868年）には廃止されました。

関所の位置は、江戸を起点に中山道を経て、忍・川俣そして館林、足利を通り、最終的には日光へとつながる経路上にありました。このことから、新郷川俣関所は利根川筋の渡し場を支える重要な地点でした。他の関所と同様に、通行する旅人を監視し、特に婦女や武器の持ち込みに対する取り締まりが厳格に行われていました。

施設の構成と管理

新郷川俣関所には、主に本番所と見張り番所が設けられ、利用者の通行を規制しました。さらに、木戸が二つ、番所があり、武器を持つ者や女性の通行は特に厳しく管理されていました。関所の番士は四家から構成され、役割に応じた監視が行われていました。

また、関所には様々な監視道具も備え付けられており、鉄砲や長柄物、囚人を収容するための設備など、多彩な役割を持った道具が用意されていました。特に、江戸における鉄砲の持ち込みや、脱藩を試みる女性については厳重なチェックが行われていたのです。

水害の影響

新郷川俣関所は、利根川の洪水による影響も受け、数回の大水害で被害を被りました。特に寛保2年（1742年）には大雨によって関所が流失し、復旧が難航しました。そのため、関所の機能が一時的に弱体化することもありました。このような自然災害により、関所の位置や役割が時代と共に変化していく様子も見受けられました。

文化財としての指定

新郷川俣関所の跡地は、現在、利根川の改修により河床となっていますが、当時の歴史を伝える重要な文化財として「川俣関所跡」として昭和36年に埼玉県の指定文化財として認定されています。また、「川俣関所関係古文書及び関係用具」も昭和33年に文化財に指定され、関所で使用されていたさまざまな道具や記録が大切に保存されています。

このように、新郷川俣関所は、江戸時代の交通の要所としての役割を果たし、数々の歴史的背景を持つ場所でした。その痕跡は、今も地域の文化財として人々に語り継がれています。

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