小岸昭

小岸 昭 (こぎし あきら) の生涯と業績

小岸昭氏（1937年9月28日 - 2022年8月23日）は、ドイツ文学者として広く知られ、京都大学名誉教授を務めた学者です。北海道出身であり、1963年に京都大学大学院の独文科修士課程を修了後、同大学において教鞭を執り始めました。彼は、教養部の助教授や総合人間学部の教授として、2001年には定年退官し名誉教授となりました。

学問の道と受賞歴

小岸氏は、1965年に日本ゲーテ賞を受賞し、その後も多方面での研究を続けました。特に、1966年から1968年にかけては、フランクフルト大学に留学し、ユダヤ思想に関する知見を深めました。彼の研究は、スペイン、ポルトガル、インド、イスラエル、ブラジル、中国などへの旅を通じて、ディアスポラ・ユダヤ人の歴史や文化を探求することに大きく重なります。

1995年には神戸市に「日本・ユダヤ文化研究会」を設立し、以後も高い関心を持ちながら地域文化に貢献してきました。京大を退官後は北海道に戻り、「ブレーメン館」を立ち上げ、雑誌の発行や映画の上映会、講演会を開催するなど、地域文化の振興に務めました。

著作と翻訳

小岸氏は、生涯にわたり多くの著書を執筆しました。代表作には、1985年に出版された『欲望する映像 ドイツ的なるものと畸型児たちをめぐって』や、1992年の『スペインを追われたユダヤ人 マラーノの足跡を訪ねて』、更に1997年の『離散するユダヤ人 イスラエルへの旅から』があります。また、彼の研究が結実している著作『十字架とダビデの星 隠れユダヤ教徒の500年』や、ナチスについての考察を扱った『世俗宗教としてのナチズム』なども重要です。

翻訳作品にも多く携わり、レーオンハルト・フランクの『愛しき二人　ドイツ表現主義2』や、ゲルショム・ショーレムの『カバラとその象徴的表現』など、多彩な分野にわたる文学と思想が彼の手によって日本語に紹介されました。

追悼と評価

小岸氏は2022年8月23日に呼吸不全により逝去しましたが、その功績は今なお多くの人々に影響を与えています。藤原辰史氏や櫻井正一郎氏らによる追悼記事では、彼の学問的な情熱や地域文化へ与えた貢献が高く評価されています。地域に根ざした活動を行いながら、学問の深化を追求した小岸昭氏の姿は、今後の研究者や文化活動に携わる者たちにとっての模範となるでしょう。彼の著書や業績は、言語と文化の理解を深める上で、重要な資源であり続けます。

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