小川環樹

小川 環樹について

小川環樹（おがわ たまき、1910年10月3日 - 1993年8月31日）は、日本の中国文学の権威として知られる学者であり、京都大学の名誉教授でした。彼は、初心者向けの啓発書や翻訳書を数多く執筆しており、例えば『唐詩概説』や『蘇軾』などの著作で広く知られています。さらに、角川書店が発行した『新字源』の編者の一人としても評価されています。

生涯と学歴

小川は京都府にて地質学者の父、小川琢治の四男として生まれました。彼は第三高等学校を経て、1928年に京都帝国大学の文学部へ進学し、1932年に卒業しました。卒業後には同大学の大学院に進み、1934年から1936年にかけて中国に留学しました。この間、魯迅や章太炎、銭鍾書といった当時の文学者との交流を深めましたが、1938年には大学院を退学しました。

彼の教育者としてのキャリアは1938年に始まり、東北帝国大学での講師職に就きました。その後も同大学で助[[教授]]、教授へと昇進し、1950年には神戸大学文学部の教授となりました。1951年には京都大学で文学博士号を取得し、1974年に定年退官した後は名誉教授の称号を授与されました。また、京都産業大学や佛教大学でも教鞭を取りました。1989年には日本学士院の会員にも選ばれました。

家族と親族

小川環樹の家族は、学問の世界でも著名なメンバーで構成されています。長兄の小川芳樹は金属工学の専門家であり、次兄である貝塚茂樹は東洋史学を専門とし、共著もあります。三兄の湯川秀樹は日本初のノーベル物理学賞受賞者で、教育界での影響力は絶大でした。一方で、末弟の小川滋樹は第二次世界大戦で戦病死し、その悲劇を盛り込んだ家族の歴史も特筆すべき点です。

研究と業績

小川環樹の研究分野は主に中国古典文学で、特に中国古典小説に関しての専門家として知られています。彼は「中国詩人選集」や複数の編著書を手掛け、角川書店が出版した「新字源」などの漢和辞典の編集にも関与しました。彼の著作や編集により、多くの読む価値のある中国文学の作品が日本に紹介されました。

小川環樹文庫

彼の膨大な蔵書は京都産業大学に収蔵され、「小川環樹文庫」として名を馳せています。約10,000点の資料のうち、2,300点以上の漢籍資料は特に貴重であり、整理には6年がかけられ、『小川環樹文庫漢籍目録』として公刊されています。彼の業績は学界における重要な歴史的資産となっております。

代表的な著書

小川環樹は数多くの著書や共訳書を残しており、以下はその一部です：

• - 『中国古典詩集Ⅱ 唐詩・宋詩・宋詞』
• - 『完訳 三国志』
• - 『司馬遷 史記列伝』
• - 『蘇東坡詩集』

これらの著作は、中国文学の理解を深めるための重要な資料となっています。

結論

小川環樹は、その学問的な業績と教育により、中国文学の発展に寄与した偉大な学者です。彼の功績は後世に引き継がれることでしょう。

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