小普請

小普請（こぶしん）について

小普請とは、江戸幕府における下級武士たちの組織であり、主に家禄が3000石以下の旗本や御家人が無役の状態で属していました。この組織は、幕府内の様々な役割を持つ者たちと区別され、特に役職に付かない者たちが集まる場所でした。小普請の人々は、役職を持たないため、独自の活動や訓練を重ねることで、いつか役職に就くことを夢見ていました。特に注目すべきは、小普請の人々がどのように生き、訓練し、そして変革を目指したかです。

組織の構成と役割

小普請は享保4年（1719年）に正式に組織され、当初は200石以上の者が対象でしたが、宝暦3年（1753年）にはすべての小普請がこの支配の下にまとめられました。組織内には、各組に組頭が配置され、役割が明確にされていました。小普請の中には、長い間無役であり、能力を発揮できず苦しい生活を強いられている者も多くいました。

このような環境の中、規則に従い様々な活動を行うことが求められました。例えば、毎月行われる講義や練習では、四書について学び、弓術の技術を磨くことがありました。特に、5年ごとに行われる将軍の前での弓射大会は、名誉を得るための重要な機会となっていました。

小普請人足と役割

また、小普請は特定の工事作業にも携わっており、小普請人足としての役割も果たしていました。小規模な修理工事のために、礼遇された幕臣たちは若い者たちを出し、工事への従事を義務づけられていました。この制度は、戦乱が治まった後の城の修理や築城に伴い、新たな形に進化しました。

経済的困窮と生活

しかし、多くの小普請の者たちは経済的に困窮し、生活費を稼ぐために内職や他の手段を取り入れなければなりませんでした。中には、町人を養子として迎え入れ、自身の身分を売るような行為に及ぶ者も多く見られました。これらは明らかに違法行為であり、厳しい処罰の対象となりましたが、貧困から逃れられない人々はその道を選ぶしかなかったのです。

逢対日と登用の制度

また、小普請の者たちは、役職に就くために「逢対日」と呼ばれる日を設定し、役職への希望を訴える運動も行いました。これは、毎月特定の日に支配の元に赴き、通りの挨拶や希望を述べるものでした。面会内容が細かく規制されており、多くの者たちが申請の過程で苦労を重ねていました。

家督相続と制度の変化

小普請の中での家督相続についても多くの事例がありました。これに備え、隠居や所領の移譲に関する手続きが簡素化され、特例が設けられていました。しかし、幕末が近づくにつれて、小普請制度が時代に不釣り合いになり、次第に廃止される運命にありました。

小普請制度の廃止

慶応2年（1866年）には、小普請制度が正式に廃止となり、それ以降は新たな体制のもとで組織が再編成されることとなりました。特に、軍隊の役割が強化される中で、小普請の重要性は低下していったのです。

このように小普請は、江戸幕府時代に特有の社会的・経済的環境が生み出した組織であり、その活動や制度は当時の社会のあり方を色濃く反映していました。

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