小松島抗争

小松島抗争

小松島抗争は、1956年7月から1957年11月にかけて徳島県小松島市で発生した、三代目山口組傘下の二代目小天竜組と、本多会系の平井組、福田組との間で繰り広げられた抗争事件です。

抗争の背景

戦前から、小松島市には博徒の新居良男（小天竜組組長、山口組舎弟）と、的屋稼業の平井組（組長・平井龍雄）という二つの勢力が存在し、小競り合いを繰り返していました。平井組は勢力的に優位であり、平井龍雄は後に四国神農会の大立者となるほどの人物でした。

パチンコブームが起こると、1950年に平井組が「大小」という機械を設置して商売を始めました。これに対し、小天竜組は「賭博は博徒の縄張りである」と抗議。平井組は「機械は盆とは違う」と反論し、両者の対立が激化しました。

抗争の勃発

1956年7月13日の夏祭りの夜、小天竜組の構成員が平井組の事務所を襲撃し、双方合わせて死者1人、負傷者3人を出す事件が発生しました。地元の県議や本多会の幹部の尽力により、この事件は大きな抗争には発展せず、4日後の7月16日に手打ちとなりました。

しかし、1957年10月、小天竜組と対立関係にあった福田組の構成員が小天竜組事務所の前で喧嘩を起こし、関係のない人物を水死させる事件が発生しました。これに激昂した小天竜組組員が福田組組員を川に突き落としたことがきっかけとなり、1957年11月20日、福田組組員が報復として小天竜組組長・新居良男を小松島港の岸壁で待ち伏せ、銃撃して重傷を負わせました。この銃撃戦で双方に負傷者が出ました。

山口組の介入

手打ち後の事件発生に、小天竜組の上部団体である山口組は激怒し、直ちに行動を開始しました。若頭の地道行雄を指揮官として、安原政雄、吉川勇次、山本健一、尾崎彰春ら幹部が組員115人を動員して小松島へ乗り込みました。しかし、この動きを察知した兵庫県警と徳島県警の介入により、実際の抗争は回避されました。

小松島抗争の影響

小松島抗争は、三代目山口組（組長・田岡一雄）にとって初めての大規模な抗争でした。この抗争で採用された迅速な大量動員による示威行為は、その後の山口組の抗争（明友会事件や夜桜銀次事件、広島抗争など）で繰り返される戦術となりました。

この手法を確立した山口組は、若頭・地道の指揮のもと、圧倒的な武力を背景に1960年代から1970年代にかけて全国に進出していきました。小松島抗争は、その先駆けとなる重要な抗争だったと言えるでしょう。

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