博徒

博徒とは

博徒（ばくと）は、賭博を生業とする人たちを指します。彼らは封建社会から現代まで、行政や司法によって賭博が禁止されてきた中で、社会的に孤立した存在として知られています。特に19世紀には地廻り経済の影響で、無宿者が増加し、多くの博徒が無法者としての生活を強いられました。

博徒の歴史的背景

博徒は、一般に法的な規制の枠外で活動しているため、古い文献や記録にはあまり残っていません。その結果、彼らの生年月日や出自など、基本的な情報さえも分からないことが多いです。また、賭博においてプレイヤーとして客と対峙する博徒は「真剣師」とも呼ばれます。賭け麻雀を主な生業としている博徒は「玄人（バイニン）」と呼ばれることがあります。

無宿者の成立と博徒の選択

無宿者は、自給自足の農村社会が貨幣経済に移行する中で、社会の適応から外れてしまった人々を指します。19世紀に形成された地廻り経済の影響で、彼らは封建社会の権力者から一切の保護を受けることができず、都会での居住や職業についても後見人を得ることができませんでした。このような状況下で、他者からの迫害に対して訴える手段も持たない無宿者たちは、「金さえあれば生きていける」時代に生きるために博徒の道を選ぶことも多かったとされています。

無宿者の義務と相互扶助

無宿者には、「無宿居住」として相互扶助の義務が課されています。具体的には、土地の親分は「無宿旅人」の世話をすることが義務付けられていました。このような相互扶助の精神は、時に厳しい掟に縛られることもあり、無宿者たちは多くの困難を抱えていました。こうした背景が、彼らを最下層の民としての記憶へと変え、多くの大衆娯楽の題材となったのです。国定忠治のように、博徒に由来するキャラクターも存在します。

文献から見える博徒の存在

博徒に関する記録は極めて限られていますが、戸羽山や長谷川昇、高橋敏、水谷藤博といった研究者の成果によって、博徒が政治や民衆にどのように利用されてきたのかが徐々に明らかになっています。これにより、博徒は社会の一部分としての役割を果たしていたことが分かります。

現代の博徒系暴力団

江戸時代から昭和の初めにかけて形成された博徒組織は、今日も多くの暴力団として存続しています。例えば、山口組系には平井一家や清水一家などが存在しており、住吉会系には丸唐会やお前田一家など、さらには稲川会系や松葉会系も見られます。その他にも工藤會や会津小鉄会、双愛会など、多種多様な組織が存在しています。

参考文献

髙橋修の「甲州博徒の資料論」では、博徒の活動と近世甲斐国における社会経済の特質について考察されています。博徒の歴史を学ぶことは、当時の社会の仕組みや人々の生き様を知る上で重要な手立てとなるでしょう。

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