小林信近

小林信近 - 愛媛の実業家と政治家

小林信近（こばやし のぶちか、1842年10月2日 - 1918年9月24日）は、愛媛県松山市出身の著名な実業家および政治家です。彼は、日本の鉄道や電力企業の発展に尽力し、明治時代の愛媛経済の基盤を築いた重要な人物とされています。特に、伊予鉄道会社の設立や伊予水力電気の創業は、彼の業績の中でも特筆すべき点です。

生涯

伊予鉄道の設立

小林は1883年から1884年にかけて神戸鉄道局で用材の調達を行い、大坂に滞在中に阪神間での鉄道旅行を体験しました。その経験を通じて松山の交通事情改善に必要な鉄道敷設を認識し始めました。当時四国には公的な鉄道は存在せず、小林は単独での鉄道設立を志しました。

1885年に鉄道局へ鉄道敷設の申請を行いましたが、申請は却下されました。その後、上京し鉄道局関係者に直接頼み込み、ようやく鉄道の設置が許可される運びとなります。結果として、伊予鉄道は1887年に設立され、小林は初代社長に就任しました。1900年には南予鉄道や道後鉄道と合併はしたものの、彼はその会社を去りました。

伊予水力電気の設立

小林の電気事業に対する関心は1894年に遡ります。当時日本では主に火力発電が主流でしたが、水力発電への関心も高まりつつありました。彼は御手洗川を利用した水力発電所を計画し、技術者を募って調査を開始しました。1897年には河川使用申請を行い、1900年に電気事業経営会社の設立が許可されました。しかし資金調達は難航し、ついには資本金を何度も削減する必要がありました。最終的には発起人らと才賀藤吉の支援を得て1901年に会社設立を果たし、1903年に発電所が開業に至りました。

晩年

晩年、小林は伊予製紙株式会社や伊予電力織布株式会社を設立しましたが、これらの事業は財政的に困難を極めました。また、才賀藤吉が破綻した際に連帯責任を負うことになり、経済的な打撃を受けました。これにより彼は自宅を手放し、借家に移り住むこととなります。1918年、小林は老衰性脳溢血により逝去しました。

略歴

• - 天保13年（1842年）：松山藩士の家に生まれる。
• - 嘉永06年（1853年）：養子となる。
• - 明治09年（1876年）：製紙、製靴、小倉織を扱う工業会社を設立。
• - 明治11年（1878年）：第五十二国立銀行を創立。
• - 明治15年（1882年）：松山商法会議所を設立。
• - 明治20年（1887年）：伊予鉄道会社を創立。
• - 明治33年（1900年）：伊予水力電気を設立。
• - 大正07年（1918年）：逝去。

栄典

• - 大日本帝国憲法発布記念章（1889年）
• - 大礼記念章（1915年）

小林信近はその商才と先見の明で、多くの事業を興し、愛媛の発展に寄与した一方で、波乱に満ちた晩年を送りました。彼の遺した足跡は今なお多くの人々に影響を与えています。

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