小林千代子

小林千代子（こばやし ちよこ）

小林千代子は、1910年7月30日に北海道小樽市で生まれ、1976年11月25日に逝去した日本の流行歌歌手及び声楽家です。彼女は別名「金色仮面」とも呼ばれ、舞台や音楽界で非常に名の知れた存在でした。

経歴と活動

小林千代子は東京府立第七高等女学校を卒業後、東洋音楽学校に入学し、後に新宿ムウランルウジュで舞台デビューを果たします。その後松竹楽劇部に入団し、水の江滝子やオリエ津阪と共演しながら、多様な歌劇に出演。彼女は1936年に松竹楽劇部を退団しました。

音楽キャリアのスタートは、松竹楽劇部に在籍していた頃からで、同時に日本ビクターに入社し「金色仮面」とする名義で音盤デビュー。彼女のデビュー曲「アリラン」は1931年に発売され、特に美しいソプラノの歌声とその美貌で人々を惹きつけ、瞬く間に人気を博しました。多くのヒット曲を生み出し、「涙の渡り鳥」「椿の丘」「利根の朝霧」などは今でも多くの人に親しまれています。

しかし、彼女の私生活も波乱に満ちており、夏川静江との間の恋愛事件などもあって、その話題性は彼女の人気に拍車をかけました。1939年にはポリドールに移籍し、「旅のつばくろ」などのヒットを果たしましたが、1941年にはタイヘイ蓄音器に移るものの、録音は「明け行く大陸」に留まります。この時期、彼女は一時的に芸能界から足を引くことになります。

戦後の活動

戦後の小林千代子は、新潟県で「小林千代子歌劇学校」を設立し、地元の少女たちに歌劇の指導を行いました。1949年にはポリドールに復帰し、「青空シャンソン」を吹き込むなど再び音楽の道に戻るものの、戦前のような人気には至りませんでした。その後、彼女は小林伸江と名乗り、師である三浦環の遺志を引き継いで、本格的なクラシック音楽の道に専念しました。また、1967年には「第1回マダムバタフライ世界コンクール」を開催するなど、音楽界での存在感を示しました。

代表曲

小林千代子は、多くの楽曲を世に送り出しました。代表的なものには、以下のような曲があります。

• - 「涙の渡り鳥」（1932年9月）
• - 「路傍の花」（1933年11月）
• - 「利根の朝霧」（1934年8月）
• - 「カリオカ」（1934年12月）
• - 「人の気も知らないで」（1938年3月）

彼女の音楽は、堅実な技術と情熱気を融合させ、聴く人々の心に響きました。

最後の時

小林千代子は1976年11月25日に、膵臓の病により66歳でこの世を去りました。彼女の墓は台東区の寛永寺にあります。千代子の音楽と舞台での業績は、今でも多くの人々の記憶に刻まれており、彼女の才能は決して色褪せることはありません。

もう一度検索