小林登志子

小林 登志子（こばやし としこ）について

1949年に千葉県に生まれた小林登志子は、日本の古代オリエント歴史学において重要な役割を果たしている学者であり、特にシュメール学において卓越した専門知識を持つ。彼女は中央大学文学部史学科西洋史専攻を卒業後、同大学院でさらに学びを深め、修士課程を修了した。大学ライブにおいては、ギリシア古代文化に強い憧れを抱き、教授の太田秀通の講義を受ける中で、シュメール文明に対する興味を深めていった。卒業論文でも「ギルガメシュ」をテーマに選び、その後はシュメール語に関する研究を尾崎亨から指導を受けながら進めた。

1982年には、その優れた研究によって第4回日本オリエント学会奨励賞を受賞する。このことにより、彼女の研究は注目を集めるようになり、1986年には立正大学文学部で講師としてのキャリアを開始する。同年からはNHK学園の「古代オリエント史」講座が始まり、さらにNHKラジオ第2の「カルチャーラジオ」やNHK文化センターのカルチャー講座でも講師を務めるなど、広範囲にわたった教育活動に従事する。

古代オリエント史を研究する山田重郎からは、小林を「学識と語り部の能力を兼ね備えた優れた学者」と評価され、その学問的な功績は高く評価されている。彼女の著書には、一般向け学術書として高い評価を受ける作品が多数あり、特に次の著作が知られている。

• - 『シュメル 人類最古の文明』 中央公論新社、2005年
• - 『五〇〇〇年前の日常 シュメル人たちの物語』 新潮社、2007年
• - 『楔形文字がむすぶ古代オリエント都市の旅』 NHK出版、2009年
• - 『文明の誕生－メソポタミア、ローマ、そして日本へ』 中公新書、2015年
• - 『古代オリエントの神々－文明の興亡と宗教の起源』 中公新書、2019年
• - 『古代メソポタミア全史－シュメル、バビロニアからサーサーン朝ペルシアまで』 中公新書、2020年
• - 『古代オリエント全史－エジプト、メソポタミアからペルシアまで4000年の興亡』 中公新書、2022年

これらの著作は、シュメール人や古代オリエントの文化、神話、歴史に関する深い理解を提供し、読者に対して考古学的視点から古代文明の魅力を伝えることを目的としている。また、岡田明子との共著による造詣もあり、『古代メソポタミアの神々－世界最古の「王と神の饗宴」』や『シュメル神話の世界－粘土板に刻まれた最古のロマン』など、多角的な視点からシュメール文明や神話についての研究を続けている。

小林登志子の業績は、オリエント学や歴史学の発展に貢献しており、彼女の研究によって多くの人が古代文明に対する理解を広げている。今後も彼女の活動が古代オリエント研究の発展に寄与することが期待されている。

もう一度検索