小林秀雄 (批評家)

小林秀雄

小林秀雄（こばやし ひでお）は、1902年4月11日に東京で生まれ、1983年3月1日に亡くなった日本を代表する文芸評論家、作家、編集者及び美術と古美術の専門家です。彼は日本芸術院の会員として文化功労者に認定され、文化勲章も受賞しました。

彼の活動は文学界において特に影響力があり、保守文化の象徴ともなりました。フランス象徴派の詩人であるアルチュール・ランボーやシャルル・ボードレール、ロシアの文学者であるドストエフスキーの作品から強い影響を受けた彼は、幸田露伴や志賀直哉などの日本文学にも深く関わりました。さらに、ベルクソンやアランなどの哲学的思想も彼の思考の基盤となっています。

生い立ちと経歴

小林は父小林豊造と母精子のもとに生まれました。父はダイヤモンド加工の技術を学び、日本に持ち帰るという業績を残しました。小林は幼少期から鋭い知性と独自の感性を持ち、小学校から日本文学に興味を持ち始めました。

彼は東京府立第一中学校を経て、東京帝国大学に進学し、フランス文学科で学びました。この頃、文学や哲学への関心が高まり、学生時代には多くの同人誌活動を通じて文才を発揮していました。彼の初期の著作には、彼が同時代の作家たちの新しい文学潮流に影響を与える要素が見られます。

批評と文筆活動

彼の批評は、1930年代の初めに『文藝春秋』で文芸時評を連載することで確立しました。これにより、彼は批評家としての地位を固定し、多くの文学者との交流を持つようになりました。1933年には文學界を創刊し、同年には明治大学の教壇に立つようになります。

彼の著作には、文芸評論だけでなく、絵画や古美術に関する洞察も豊かです。特に『ゴッホの手紙』や『近代絵画』は、美術論として高く評価されています。彼の文体は独特で、詩的かつ情熱的な表現が印象的です。

戦後の思想

戦後、小林は社会の変化とともに自身の視点を変化させ始めました。特に第二次世界大戦後の混乱や社会問題に対する鋭い洞察を持ち、彼の批評は一層深いものになりました。1946年に発表した『無常といふ事』では、不変の価値を見つめる眼差しから、時代の変化を捉え直していきました。

彼はまた、ドストエフスキーやランボーについての再評価を行い、これらの作品を通じて人間存在の深淵を探求しました。

晩年と影響

1983年、腎不全による病に倒れ、彼は生涯を閉じました。しかし、小林秀雄が残した作品や影響は、今なお多くの知識人や作家に受け継がれています。彼の批評の形式は、新たな時代を切り開くものとして評価されており、その思想は日本文学における重要な位置を占めています。

彼の妹高見沢潤子も作家であり、その家系には多彩な才能が受け継がれています。小林秀雄の作品は、文化や思想に対する独自の視点を提供し続け、現在でも多くの人々に読まれています。

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