小林至

小林至：東大野球部からプロ野球、そしてスポーツ経営学者へ

小林至氏は、1968年生まれの神奈川県出身。元プロ野球選手であり、現在は桜美林大学教授として、スポーツマネジメントの第一線で活躍する稀有な存在です。東京大学経済学部卒業という経歴を持ちながら、プロ野球選手としての経験、アメリカでのMBA取得、そしてスポーツビジネス研究者としての顔を持つ小林氏の波乱に満ちた人生を紐解いていきましょう。

東大野球部時代とプロ野球への道

神奈川県立多摩高等学校を卒業後、東京大学経済学部経営学科に進学。東大野球部では、控え選手として活躍。六大学リーグでは、チームは苦戦を強いられましたが、小林氏自身も貴重な経験を積みました。そんな中、ロッテ・オリオンズの監督であった金田正一氏から入団テストを受ける機会を与えられ、合格。東大在学中であったため、卒業まで練習生として在籍した後、1992年のドラフト8位で千葉ロッテマリーンズに入団しました。東大出身のプロ野球選手は珍しく、当時の就職人気を背景に、大きな話題となりました。

プロ野球選手としての挑戦と引退

プロ生活は2年間。1軍での登板はありませんでしたが、2軍では26試合に登板。その後、1993年に自由契約となり、現役を引退しました。1軍での登板機会は限られていましたが、オープン戦では1勝を挙げた経験もあります。

アメリカでの経験と帰国後

引退後は、アメリカへ渡り、コロンビア大学経営大学院でMBAを取得。フロリダ州のケーブルテレビ局「ザ・ゴルフ・チャンネル」で通訳や解説を務めました。しかし、会社の人種差別体質を批判したことで解雇され、日本に帰国。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、日米関係などの評論活動を行いながら、スポーツビジネスをテーマとした研究を本格的に開始しました。政治への関与として、参議院議員選挙へ立候補したこともありましたが、落選しました。

スポーツビジネス界での活躍

帰国後、江戸川大学助教授に就任し、その後教授に昇格。その後、立命館大学や桜美林大学などの客員教授を歴任。また、福岡ソフトバンクホークスでは、取締役としてチーム編成やマーケティングに携わり、球団運営に大きく貢献しました。

在籍中には、パ・リーグの共同事業会社であるパシフィックリーグマーケティングの初代執行役員を務め、黎明期の経営を支えました。チーム編成においては、三軍制や成果報酬の年俸制度など、革新的な施策を導入。内川聖一選手など、多くのスター選手の獲得にも尽力しました。その一方で、主力選手との確執も報じられるなど、選手との関係構築に苦労した時期もありました。

2014年末に福岡ソフトバンクホークスを退団後は、同球団のアドバイザーなどを務め、2020年からは桜美林大学健康福祉学群の教授に就任しています。

多彩な活動

小林氏は、経営学者、大学教授としての顔だけでなく、一般社団法人大学スポーツ協会理事、スポーツ庁スタジアム・アリーナ推進官民連携協議会幹事など、数々の要職を歴任。また、『プロ野球ビジネスのしくみ』など、多くの著書を発表しています。これらの活動を通して、日本のスポーツビジネス界の発展に貢献しています。

小林至氏の軌跡：まとめ

小林至氏のキャリアは、プロ野球選手という華やかな世界から、スポーツビジネス界の研究者・指導者へと転身した、まさに異色の経歴です。東大野球部、プロ野球選手、アメリカでのMBA取得、そして大学教授という経歴から得た豊富な経験と知識を活かし、現在も日本のスポーツ界に多大な貢献を続けています。その多様な活動と実績は、日本のスポーツ界の発展に大きく寄与するものと言えるでしょう。

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