小樽高商軍事教練事件

小樽高商軍事教練事件

小樽高商軍事教練事件は、1925年に北海道の小樽高等商業学校で起こった反軍事教練の抗議運動です。歴史的な背景を持ち、学生たちが軍事教育に対抗する姿勢を示した重要な出来事として位置づけられています。

概要

事件は1925年10月15日に発生しました。当時、学生たちに配属された鈴木平一郎少佐の指導のもと、野外での演習が行われていた際、演習の内容が大きな問題となりました。同日の午前6時、天狗山を震源とする地震が発生し、周辺地域は壊滅的な被害を受けました。この地震による家屋の倒壊や火災が広がる中、無政府主義者の団体が暴動を引き起こし、小樽在郷軍人団はこれに対抗して衝突しました。

敢えて言うなら、このような状況下での演習内容は、関東大震災当時の甘粕事件や朝鮮人虐殺事件を想起させるものでした。翌日から、朝鮮人団体や小樽総労働組合などがこの演習に対して抗議活動を始めました。特に、政治研究会小樽支部は激しい抗議を表明し、学生の有志は『全国の学生諸君に檄す！』という声明を発表し、軍事教育の中止を強く訴えました。10月29日には学生代表54名が東京を訪問し、文部大臣との面会を果たします。

その後、11月1日に行われた運動会では、軍事教練反対の宣伝ビラが撒かれるなど、学校内外での抗議は続きました。しかし、当局は11月13日に外部の左傾団体と関わっていた16名の学生を無期停学処分とするという措置に出ました。これにより、学校側と学生の間には更なる亀裂が生じることとなりました。

全国への波及

事件は地元だけでなく、全国的な規模へと広がっていきました。11月9日には立教大学、早稲田大学、東京帝国大学の新聞が共同で軍事教育反対の宣言を発表しました。また、『東京朝日新聞』はこの問題について二度社説を掲載し、軍事教育の危険性を警告しました。このような言論は、学生運動の重要性を示し、さらに広範な社会運動に影響を与えることとなります。

結論

小樽高商軍事教練事件は、一地域での学生の抗議活動から、全国的な学生運動へと発展した重要な出来事であり、今後の学問の自由や教育における政治性についての議論に大きな影響を与えました。本事件は軍事教育に対する疑問を投げかけ、学生たちが自らの意見を声高に述べることの重要性を浮き彫りにしたのです。

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