小池大橋飲酒運転事故

小池大橋飲酒運転事故

2000年4月9日、神奈川県座間市で発生した飲酒運転による痛ましい交通事故です。この事故は、その後の危険運転致死傷罪の成立に大きな影響を与えたことで知られています。

事故の概要

2000年4月9日午前1時55分頃、神奈川県座間市栗原の小池大橋付近で、一台の乗用車が歩道を歩いていた2人の大学生をはね、2人とも即死するという悲惨な事故が発生しました。

事故を起こした乗用車は、神奈川県警察の検問を振り切って逃走中でした。運転手は、同僚の結婚式で飲酒しており、現場付近で約100キロという猛スピードで走行していた際にハンドル操作を誤り、歩道に乗り上げてしまったとされています。

さらに、この運転手は飲酒運転だけでなく、無免許運転であり、自賠責保険にも未加入という、非常に悪質な状態での運転でした。

この事故で命を落とした2人の大学生は、予備校時代のクラスメートで、大学入学を祝うために泊まりに来ていたところでした。

裁判

2000年当時、交通事故による死傷事故は「業務上過失致死傷罪」で処理されていました。そのため、この事故の加害者も同罪で起訴されました。

2000年7月4日、横浜地方裁判所相模原支部で判決公判が開かれ、池本寿美子裁判官は、検察側の求刑通り懲役5年6ヶ月の実刑判決を言い渡しました。

判決では、「言語道断の行為で、同情の余地は全くない。量刑にあたっては傷害致死に準じた非難を加えても決して不当とは言えない」と厳しく加害者を非難しました。検察側は、この事故を極めて悪質な事件と捉え、業務上過失致死罪としては最高刑にあたる懲役5年に、道路交通法違反や道路運送車両法違反（無車検）、自動車損害賠償保障法違反（自賠責保険無加入）の罪状を加え、現行法上最も重い量刑となる懲役5年6ヶ月を求刑していました。

危険運転致死傷罪の成立へ

この事故で犠牲になった大学生の母親は、「悪質な運転で死亡事故を起こしながら、窃盗罪よりも軽い業務上過失致死傷罪で処理されるのはおかしい」として、法改正を求める署名活動を開始しました。前年に発生した東名高速飲酒運転事故の遺族らも、この活動に賛同し、署名活動は大きな広がりを見せました。

その結果、2001年10月までに37万4339名もの署名が集まりました。署名が集まる前の2001年6月には道路交通法改正案が、同年11月28日には刑法改正案が成立し、最高刑を懲役15年とする危険運転致死傷罪が成立しました。

この小池大橋飲酒運転事故は、危険運転致死傷罪の成立を大きく後押しし、その後の法改正に大きな影響を与えた、非常に重要な事故として記憶されています。

関連情報

• - 飲酒運転
• - 0からの風 - この事故を元にした映画
• - 刑法
• - 業務上過失致死傷罪
• - 危険運転致死傷罪
• - 自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律

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