砂川市一家5人死傷事故

砂川市一家5人死傷事故

2015年6月6日、北海道砂川市で発生したこの交通事故は、飲酒運転による凄惨な結果を社会に突きつけました。この事故で、一家5人が死傷するという痛ましい事件となりました。

事故の概要

事件は、AとBの2人が、飲酒状態でそれぞれ車を運転し、速度を競う「シグナルグランプリ」と呼ばれる危険な行為を行っていた際に発生しました。Aの運転するBMW・X5は、最大で時速170kmに達する猛スピードで交差点に進入。そこに、歌志内市から帰宅途中の家族5人が乗った軽ワゴン車が進入し、Aの車は時速111km前後で軽ワゴン車に衝突しました。

この衝撃で、軽ワゴン車は60mも飛ばされ炎上。運転していた父親と母親は即死。長女も車外に投げ出され、車体の一部が突き刺さり死亡しました。さらに、車外に投げ出された長男は、並走していたBの運転するシボレー・C-1500に轢かれ、約1.5kmも引きずられて窒息死するという、想像を絶する悲劇となりました。唯一生存した次女も重傷を負い、重い後遺症が残りました。

事故後の調査で、AとBの飲酒運転が発覚。Aは事故への関与を認めたものの、ひき逃げについては否認しました。

裁判の経過

札幌地検は、2人を危険運転致死傷罪の共謀で起訴し、初公判で懲役23年を求刑しました。札幌地裁は、異例となる危険運転の共謀を認定し、求刑通りA、B両者に懲役23年の判決を言い渡しました。

両者は判決を不服として控訴しましたが、札幌高裁は控訴を棄却。Aは上告を断念し、懲役23年の刑が確定。Bは上告しましたが、後に棄却され、刑が確定しました。

逮捕後の経緯

2015年6月9日：Bがひき逃げ容疑で逮捕。
2015年6月12日：Aが危険運転致死傷罪で逮捕。
2015年7月3日：Aが危険運転致死傷罪（共謀）で起訴、Bが同罪で再逮捕。
2015年7月10日：Bが危険運転致死傷罪（共謀）で起訴。
2015年7月17日：Aが道路交通法違反（酒気帯び・共同危険行為・轢き逃げ）で追送検。
2015年8月19日：A・Bが道路交通法違反（酒気帯び・共同危険行為・轢き逃げ）で追起訴。
2016年10月17日：札幌地裁で裁判員裁判の初公判。
2016年11月10日：札幌地裁でAとBに懲役23年の実刑判決。
2016年11月21日：Bが判決を不服として控訴。
2016年11月24日：Aが判決を不服として控訴。
2017年4月14日：札幌高裁でA、Bともに控訴棄却。
2017年4月21日：Aが上訴権を放棄。
2017年4月24日：札幌高検がAについて上訴権を放棄、判決確定。
2017年4月28日：Bが判決を不服として上告。
2018年10月23日：Bの上告棄却により、判決確定。

社会への影響

この事故をきっかけに、砂川市では北海道内の市町村で初となる「飲酒運転撲滅に関する条例」が制定されました。また、事故から1年後には、砂川市主催の飲酒運転撲滅集会が開催され、献花が行われるなど、二度とこのような悲劇を繰り返さないための活動が続けられています。

関連事項

飲酒運転
刑法
業務上過失致死傷罪
危険運転致死傷罪
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律
東名高速飲酒運転事故
小池大橋飲酒運転事故
福岡海の中道大橋飲酒運転事故
八街児童5人死傷事故
智頭町飲酒運転事故
多賀城市RV車飲酒運転事故
香港落馬洲酒後運転事故

外部リンク

砂川市飲酒運転撲滅に関する条例 - 砂川市
* 札幌地方裁判所判決文

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