小池藤五郎

小池 藤五郎（こいけ とうごろう）

小池藤五郎は、1895年1月30日に山梨県北巨摩郡更科村（現・韮崎市）で生まれました。彼の家系は、甲斐国や江戸の文人との交流があり、文化的な豊かさに恵まれていました。曽祖父である小池伝右衛門富章は、国学や漢学に通じる学者であり、狂歌師としても知られていました。彼の家には、名作『南総里見八犬伝』の初版本が揃っており、この作品は親戚や知人からも愛読されていましたが、1898年の洪水で書庫ごと流失してしまいました。

学問の道

小池は1928年に東京帝国大学の国文科を卒業し、学問界に足を踏み入れました。卒業後は東京高等学校の教授として教育に尽力し、その後も東洋大学、都留文科大学、立正大学で教授を歴任しました。1953年には、東洋大学より「徳川時代大衆文学の主軸である赤本、黒本、青本の研究」により文学博士の学位を取得しました。彼の研究対象は、山東京伝や曲亭馬琴などの読本であり、特に『南総里見八犬伝』の校訂が評価されています。また、東京音楽大学でも教授として教鞭を執っていました。

狂歌と文学活動

小池は狂歌人としての顔も持ち、大倉喜八郎の「和歌廼舎鶴彦」を襲名しました。文学活動においては、多くの著作を残し、特に日本の文学を広く学びやすく解説したことで知られています。

主な著書

彼の著書には、1935年に発表された『山東京伝の研究』や、1944年の『八犬伝物語』などがあります。また、彼は『校長先生の眼鏡』や『文学概論 肩のこらない文学のあらまし』、『愛書家のつぶやき』、さらには『新資料による西鶴の研究』など、多様なテーマにわたる作品を執筆しました。1967年には『興(狂)歌の味わい方作り方 わらい三昧』を共著したり、『政治総裁職松平春嶽幕末覚書』などの刊行も手がけています。

編纂と校訂活動

加えて、小池は学術界への貢献として『海軍技術戦士』や『皇国生産魂』といった作品の編纂にも携わりました。特に『南総里見八犬伝』の全10冊は、彼の校訂によって岩波文庫から発行され、長年にわたり多くの読者に読まれています。他にも、多くの古典作品に対する校訂作業を行い、日本文学の研究を深める一助となりました。

晩年

小池藤五郎は1982年11月4日に亡くなりました。その生涯を通じて彼が残した業績は、日本近世文学の研究分野において今なお重要な位置を占めており、彼の研究成果は多くの後進に影響を与えています。息子の小池正胤もまた、黄表紙研究を行い、父の功績を受け継いでいます。

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