小沢良吉

小沢良吉：猫を愛した絵本作家

小沢良吉（おざわ りょうきち）は、1928年7月19日に東京都で生まれ、2018年1月22日に没した日本の絵本作家です。彼の作品は、温かみのある絵柄と、どこかユーモラスな雰囲気が特徴で、子供から大人まで幅広い層に愛されました。特に猫をモチーフにした作品が多く、「猫の画家」として知られています。

生涯と画業

小沢良吉は日本大学芸術学部純粋美術科を中退後、藤田嗣治に私淑し、パリへ留学しました。帰国後は、絵本作家、挿絵画家として精力的に活動しました。1964年からは剣持勇、野口克平などの依頼を受け、京王百貨店やホテルキャピタル東急などの壁画制作にも携わっています。

1979年には「もっくりやまのごろったぎつね」で厚生労働大臣賞を受賞するなど、数々の賞を受賞しています。また、焼き物の絵付けにも才能を発揮し、名品を残しました。

1969年から1985年まで銀座三越で「小沢良吉豆絵展」を開催し、1970年から1981年まで多摩美術大学で講師を務めました。1989年には、第3回赤い鳥さし絵賞を受賞（赤座憲久著「かかみ野の土 壬申の乱」）。1992年と1994年には銀座松屋で「源氏物語画帳展」を開くなど、精力的な活動を続けました。1994年からは月刊「ねこ新聞」の表紙絵を担当しています。

2009年から2017年まで、目黒のギャラリーランクスアイにて毎年個展を開催。米寿を記念した個展では、洋画のモダニズムと大和絵の伝統を融合させた、大らかで典雅、艶やかな作風が評価されました。

主な作品

小沢良吉は生涯で200点以上の絵本や挿絵を手がけました。代表的な作品には、以下のようなものがあります。

三びきのねこのはなし シリーズ
うちのねこちゃん
猫の気もち (画集)
日本語の故郷:唱歌ゑほん
風のローラースケート

その他にも、「きいたぞきいたぞ」「ほしのサーカス」「こけしとおじいさん」「にちようびはピクニック」「ねこのレストラン」など、数多くの作品があります。また、様々な作家の作品の挿絵も担当しており、その絵は物語をより豊かに彩りました。

作風と魅力

小沢良吉の作品は、猫をはじめとする動物たちの愛らしい姿を、温かくユーモラスなタッチで描いているのが特徴です。また、日本の伝統的な画法を取り入れつつ、モダンな感覚も持ち合わせており、独特の世界観を創り上げています。

彼の作品は、子供たちに夢と希望を与え、大人たちには懐かしさと安らぎを与えてくれます。その普遍的な魅力は、時代を超えて多くの人々に愛され続けるでしょう。

参考文献

小沢良吉画集『猫の気もち』平凡社、1990年
* 各作品の奥付

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