小湊町 (千葉県)

小湊町（こみなとまち）

小湊町は、かつて千葉県安房郡に存在した町で、現在の鴨川市東部に位置しています。1889年の町村制施行により湊村として発足し、1928年に町制を施行する際に小湊町と改称しました。しかし、昭和の大合併により天津小湊町の一部となり、その歴史に幕を閉じました。

歴史

前近代

小湊という地名が史料に登場するのは鎌倉時代以降で、日蓮聖人との関わりの中で見られます。日蓮聖人は貞応元年（1222年）に「長狭郡東条郷片海」で誕生したとされ、現在の小湊浦の大弁天島・小弁天島付近がその場所とされています。

日蓮聖人の弟子である日家によって、建治2年（1276年）に日蓮聖人の生家跡に誕生寺が建立されました。しかし、明応7年（1498年）の明応地震によって、誕生寺が建てられていた場所は海没してしまいました。このため、誕生寺は妙の浦（鯛の浦）に移転しました。

江戸時代になると、小湊浦（内浦湾）は廻船の寄港地として栄え、番所が設けられました。港は、難所とされた野島崎沖を越えるための避難港として、また、東北諸藩の廻船を扱う役所も置かれるほど重要な場所でした。

元禄16年（1703年）の元禄地震では、津波により大きな被害を受け、土地が海中に沈降しました。市川村は土地と家屋を失い、後に内浦村に組み込まれました。誕生寺もこの地震で被災したと言われていますが、正確な移転時期は不明です。

近代

明治時代に入ると、寺領は上知され、県の管轄となりました。1889年（明治22年）の町村制施行により、内浦村と小湊村が合併し、湊村が発足しました。この際、小湊村の方が知名度が高かったものの、内浦村の方が資力・戸数で勝っていたため、「湊村」という新しい村名が採用されました。

1928年（昭和3年）には町制を施行し、小湊町と改称しました。1929年（昭和4年）には、房総線（現在の外房線）が開通し、安房小湊駅が開業しました。1932年（昭和7年）には、水産講習所の小湊実習場が開設され、町のシンボルとなりました。

第二次世界大戦後も漁港の整備は続けられ、1948年（昭和23年）のアイオン台風による被害から復旧し、200トン級の漁船も出入りできるようになりました。1955年（昭和30年）には、西隣の天津[[町]]と合併し、天津小湊町が発足し、小湊町はその歴史を終えました。

地理

小湊町は、安房国の東端に位置し、南は太平洋に面していました。内浦湾が湾入しており、町域は房総丘陵に位置していたため、山がちな地形でした。内浦湾一帯は、鯛の浦として知られるタイの群生地でした。

現在の鴨川市域を区分する場合、「天津小湊地区」の一部に位置付けられ、さらに町村制施行当時の区分では「小湊地区」とされていました。大字としては、小湊と内浦が含まれていました。

1926年（大正15年）時点では、西に天津[[町]]、東北に夷隅郡の老川村、上野村、清海村（後の興津町）と接していました。北東の山地を岩高山脈、西の山脈を松ヶ鼻山脈と称していました。

経済

1888年（明治21年）の記録では、住民は漁業と農業で生計を立てていました。1926年（大正15年）の記録では、林野が多く耕地は少ないとされ、漁業が主な産業でした。ヒラメやマグロなどが獲られていました。また、林産物として薪炭、農家の副業として洋傘の柄の製造も行われていました。

交通

鉄道は、国鉄（現在のJR）の外房線が通っており、安房小湊駅がありました。小湊鉄道は、小湊への延伸を計画していましたが、資金面・技術面の問題で実現しませんでした。

道路は、二級国道である国道128号が通っていました。かつては、勝浦市域に至る道は崖の中腹を通る難所でした。

名所・旧跡

誕生寺
妙蓮寺
鯛の浦

関連項目

千葉県の廃止市[[町村]]一覧
小湊町 (曖昧さ回避)

外部リンク

千葉県安房郡湊村 (12B0020042) - 歴史的行政区域データセットβ版
* 千葉県安房郡小湊町 (12B0020016) - 歴史的行政区域データセットβ版

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