小澤俊夫

小澤俊夫：ドイツ文学と昔話の架け橋

小澤俊夫（おざわとしお）氏は、1930年、満州で誕生したドイツ文学者にして昔話研究の第一人者です。筑波大学名誉教授であり、自ら設立した有限会社小澤昔ばなし研究所の社長も務めています。世界的に著名な指揮者である小澤征爾氏は弟にあたるなど、その家族関係も広く知られています。

幼少期から大学時代

小澤氏は、父が日本から中国に宣撫官として赴任した際に同行した母と共に満州で幼少期を過ごしました。幼い頃に火傷を負い、いじめを受ける経験もしました。東京府立第二中学校（現：東京都立立川高等学校）在学中には勤労動員を経験し、東京第二陸軍造兵廠多摩製造所に配属されています。その後、神奈川県立小田原高等学校を卒業し、茨城大学文理学部に入学。東北大学文学部に編入してドイツ文学を専攻し、1956年には東北大学大学院文学研究科修士課程を修了しました。

研究者としてのキャリア

大学院修了後、東北薬科大学（現：東北医科薬科大学）講師を経て、日本女子大学助教授、教授と昇任。1981年には筑波大学教授に就任し、1990年には同大学副学長も務めました。1994年には筑波大学を定年退官し名誉教授となり、その後は白百合女子大学教授を歴任しました。

小澤氏の専門は、ドイツのメルヒェンと呼ばれる口承伝承による昔話研究です。文学研究と民俗学の両面にまたがる幅広い研究を行い、数多くの学術論文や著書を発表してきました。1998年には川崎市の自宅に「小澤昔ばなし研究所」を設立し、昔話、メルヒェンの選集を多数出版。日本の昔話研究に大きな貢献をしました。

多岐にわたる活動

学術研究以外にも、小澤氏は社会活動にも積極的に参加しています。「子どもの本・九条の会」代表団員や「たま九条の会」呼びかけ人として平和運動に関わり、「リベラル21」では「メール通信 昔あったづもな」を不定期連載していました。

家族と親族

小澤氏の父は戦前の満洲で活躍した歯科医師で民族主義者だった小澤開作氏です。弟は世界的に有名な指揮者である小澤征爾氏、兄は彫刻家、末弟は俳優と、芸術・文化に携わる才能豊かな家族に恵まれました。小澤氏自身は、妻の牧子との間に2男をもうけ、次男はミュージシャンの小沢健二氏です。

さらに、小澤家の家系は、妻の牧子夫人の家系である下河辺家を通じて、実業家や政治家など、日本社会に大きな影響を与えた家系とつながっています。この複雑な親族関係も、小澤氏の経歴を語る上で重要な要素の一つとなっています。

著書・翻訳

小澤氏は、単著、共著、編著、翻訳など、膨大な数の書籍を出版しています。代表的な著書には、『昔話のコスモロジー』『グリム童話考』『昔話が語る子どもの姿』などがあり、いずれも昔話研究において高い評価を得ています。また、グリム童話など、数々のメルヒェンの翻訳にも携わっており、日本の読者にとってメルヒェンへの理解を深める上で大きな役割を果たしました。

受賞歴・顕彰

（ここに受賞歴や顕彰があれば追記）

まとめ

小澤俊夫氏は、ドイツ文学と昔話研究という異なる分野を繋ぎ、独自の視点で多様な活動を展開した稀有な存在です。彼の研究と活動は、日本の文化・学術の発展に大きく貢献し、現代にも大きな影響を与え続けています。彼の残した功績は、今後も多くの人々に啓発を与え続けるでしょう。

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