小田嶋成和

小田嶋成和の業績と影響

小田嶋成和（おだしま しげよし、1927年3月18日 - 1980年2月7日）は、日本を代表する病理学者であり、特に実験腫瘍学の分野で卓越した業績を残しました。彼の研究は、化学物質による発がんメカニズムの解明に大きく貢献しました。宮城県仙台市出身で、倫理学者の白井成允の三男として誕生しました。

略歴

小田嶋氏は1951年に東北大学医学部を卒業後、病理学教室で助手としてのキャリアをスタートしました。3年後の1954年には佐々木研究所に研究員として迎えられ、吉田富三所長の指導の下、発がんという重要なテーマに取り組みました。

1960年には東京大学から医学博士号を取得し、彼の博士論文は「4-ヂメチルアミノアゾベンゼン短期間投与後、20-メチルコラントレン皮膚塗布による白ネズミ肝癌の発生について」という非常に専門的な内容でした。この研究により、化学物質が肝臓に及ぼす影響とその発癌性についての知見が得られました。

実績と受賞歴

1962年には藤原賞を受賞。その後、1963年から1965年には米国国立癌研究所（NCI）で客員研究員として研修を行い、国際的な学術的交流を深めました。帰国後は1970年に国立衛生試験所に設立された薬品病理部の部長に就任し、さらに1978年には同試験所の安全性生物試験研究センター病理部長に就任しました。

小田嶋氏の研究は、今日の毒性試験や発癌に関する政策に重要な影響を与えました。彼は日本癌学会の理事、日本病理学会の評議員、さらには厚生省中央薬事審議会や食品衛生調査会の委員としても活躍し、学術界だけなく医療分野全体に対しても大きな貢献をしました。

急逝とその後

1980年2月7日に急逝した際、享年52歳という若さでした。彼の死は日本の医学界に衝撃を与え、その業績を追悼する声が広がりました。追贈として高松宮妃癌研究基金学術賞が贈られ、彼の貢献は改めて評価されました。

参考資料

小田嶋成和の業績を伝える文献や資料も多数存在します。その中には「化学物質と癌の発生」（小田嶋成和・橋本嘉幸編、学会出版センター、1978年）や、追悼集として「和　小田嶋成和先生を偲ぶ」（小田嶋成和先生追悼集刊行会、1982年）などがあります。また、「財団法人佐々木研究所五十年史」（1990年）も彼の業績を詳しく記録しています。

小田嶋成和の功績は、日本の腫瘍学の進展に多大な影響を与え、彼の研究成果は今なお多くの医療専門家に引用されています。

もう一度検索