小田急1700形電車

小田急1700形電車の概要

小田急1700形電車は、小田急電鉄が1951年から1952年にかけて導入した特急用車両です。この車両は特急ロマンスカーの先駆けとされ、特急専用車両としての機能と内装を兼ね備えていました。導入時には新宿から箱根湯本や片瀬江ノ島までを結ぶ特急列車として運用され、特急の地位を確立する役割を果たしました。

車両の導入経緯

1948年に再開された「週末温泉特急」は、予想以上の好評を得たため、特急用の新たな車両の導入が求められました。特急券が手に入らない状況も多発していたため、小田急では特急専用車両の導入を決定しました。当初は既存の1910形（2000形）の増備案と新しい型式の特急専用車両案が検討されましたが、営業部からは特急専用車の導入を望む声が強く、初期投資を抑えつつ特急車両を製造する方針が決まりました。

車両の特徴

1700形は、3両編成で構成されており、デザインは国鉄のモハ42形や参宮急行電鉄の2200系をモデルにしています。車体は非常に眺望が良い幅広の側窓を装備しており、座席には広い転換クロスシートが設置されています。内装には桜材が使われ、温かみのある雰囲気を醸し出していました。また、「走る喫茶室」として機能するカウンターも設置されており、旅の楽しみを提供していました。

新造と改造の履歴

導入時は第1編成から第3編成までの計3編成が製造されましたが、第1編成および第2編成は戦災復旧車を流用しました。また、1974年には全車両が廃車され、主電動機は新たに登場した4000形に転用されています。1700形はその後通勤向けに改造され、通勤車両として活躍しました。

運行の歴史

1700形は、1951年2月に特急「箱根」として運行を開始し、同年7月には「納涼ビール列車」でも使用されました。特急の運行本数は増え、1952年8月には第3編成の運行が開始されて特急が1700形のみで賄われるようになりました。その結果、運行ダイヤも新宿-箱根湯本間を短縮することに成功し、多くの利用者を魅了しました。

まとめ

小田急1700形電車は、特急ロマンスカーの源流として、当時の特急列車に新たなスタイルをもたらしました。特急車両としての役割を果たした後、通勤車両への改造を経て長い時を経て廃車となりましたが、その歴史とデザインは今も多くの鉄道ファンや利用者に愛され続けています。

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