小田急9000形電車

小田急9000形電車の概要

小田急9000形電車は、小田急電鉄が1972年から1977年の間に導入した通勤車両で、その目的は千代田線との相互直通運転にありました。この電車は、4両と6両の固定編成に分かれ、最終的には合計90両が運用されました。

編成と名称

小田急では、車両の編成に関して特有の表記法を用いており、例えば「9010×4」や「9402×6」といった形式で表現されます。また、具体的な車両については、番号を元に「デハ9400番台」のように呼ばれます。

導入の背景

1969年から、小田急の通勤輸送は大型の5000形による運行に移行しましたが、その時点ですでに千代田線との直通運転が計画されていました。しかし、5000形では乗り入れに必要な設計が進んでいなかったため、その後の協議を経て、直通列車にも対応可能な新たな車両の必要性が認識されることとなりました。このような経緯から、9000形が開発されることになったのです。

9000形の名称は、登場当初の形式番号「6000形」がすでに使用されていたため、計画路線名称である「9号線」に基づいて9000形と呼ばれるようになりました。

車両の仕様

全長20mの設計で、先頭車は制御電動車、そして中間車には電動車と付随車が採用されました。9000形は、車体が全金属製であり、特に千代田線の車両限界に合わせて幅が狭くなっています。
デザインは、運転席の窓の形状などが工夫された特徴的で、他の小田急車両とは明確に異なるスタイルを持っています。加えて、初めて台枠下部覆い（スカート）が装着されました。

内装の特徴

車内はロングシートで構成されており、座席の奥行きが5000形よりも改善され、550mmとなりました。また、車内は効率的に照明されており、各車両には多数の蛍光灯が配置されています。

電気・制御機器

9000形は、千代田線での運用にあたるため、特別な制御機器が搭載されており、発熱量が少ない設計がなされていました。最大速度は120km/hに設定されており、高速運転時の制動には発電制動が活用されます。また、主電動機は三菱電機製であり、110kWの出力を必要とします。

運用の歴史

9000形は1978年から千代田線での直通運転が開始され、その後も長期間運用されました。1990年代に入ると、後継車両である1000形が登場し、9000形の運用は次第に減少していきました。最終的には2006年に全ての車両が廃車となり、その歴史に幕を下ろしました。

保存される車両

最後まで残ったのは、先頭車のデハ9001号で、現在は静態保存されています。これにより9000形の歴史は語り継がれることになります。

小田急9000形電車は、1970年代の鉄道風景を象徴する存在であり、地域の通勤に重要な役割を果たしていました。その技術やデザインは、多くの鉄道ファンから高く評価されています。

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