小笠原追跡所

小笠原追跡所について

小笠原追跡所（Ogasawara Downrange Station, ODS）は、東京都小笠原村父島に所在する、独立行政法人宇宙航空研究開発機構（JAXA）の施設です。この追跡所は、日本の宇宙開発において非常に重要な役割を果たしています。

設立と役割

1975年、旧宇宙開発事業団（NASDA）の施設として設立された小笠原追跡所は、小笠原諸島の父島のほぼ中央に位置しています。その主な役割は、種子島宇宙センターから打ち上げられるロケットの飛行経路の確認や、飛行状況の監視、そして異常飛行の早期発見による安全確保です。

施設内には、飛翔中のロケットを電波で追跡するための高度な設備が整備されています。具体的には、精密なレーダー設備やロケットテレメータ受信設備などが設置されており、これらの設備を通じて、ロケットの位置、速度、その他の重要なデータがリアルタイムで収集されます。

データ伝送と連携

小笠原追跡所と種子島宇宙センターは専用回線で接続されており、取得されたデータは即座に種子島宇宙センターへ伝送されます。このリアルタイムデータ伝送により、打ち上げられたロケットの状態を正確に把握し、必要に応じて迅速な対応が可能となります。小笠原追跡所は、ロケット打ち上げの成功を支える上で、不可欠な存在です。

歴史的背景

設立当初はNASDAの施設でしたが、宇宙科学研究所（ISAS）のM-V[[ロケット]]の追跡にも使用されていました。ISASのM-V[[ロケット]]1号機の打ち上げ時からも追跡に利用されており、両機関が統合された現在では、JAXAの施設として運営されています。この歴史的な経緯からも、小笠原追跡所が長年にわたり日本の宇宙開発を支え続けてきたことが分かります。

観測の実際

ロケットの打ち上げが昼間に行われる場合、肉眼でロケットの飛行を目で追うことは難しいとされています。しかし、夜間に打ち上げが行われる際には、ロケットの軌跡をうっすらと視認することが可能です。これは、ロケットが噴射する炎が夜空に映えるためです。この観測体験は、多くの人々にとって宇宙への関心を深めるきっかけとなっています。

アクセスについて

小笠原追跡所の所在地は、東京都小笠原村父島字桑ノ木山です。父島への定期航路は、小笠原海運が運航する「おがさわら丸」のみで、東京竹芝桟橋から父島の二見港まで片道約24時間を要します。このため、訪れる際には十分な計画が必要となります。

まとめ

小笠原追跡所は、日本の宇宙開発を支える重要な施設であり、その役割は多岐にわたります。ロケットの追跡、安全管理、データ収集など、様々な側面から日本の宇宙開発に貢献しています。その存在は、日本の宇宙開発の歴史と未来を語る上で欠かせない要素です。

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