小虢

小虢国（しょうかくこく）は、春秋時代に存在した諸侯国の一つです。その成立は、西虢（せいかく）の東遷という出来事に深く関わっています。西虢は、周王朝の有力な諸侯国でしたが、内紛や周辺民族の侵入により、都を東へと移しました。この時、西虢の故地には、その庶流にあたる一族が残り、新たな国を建てたとされています。これが小虢国です。

小虢国の歴史については、史料が限られているため、不明な点が多いのが現状です。『史記正義』が引用する『輿地志』には、「遊牧民族が西虢の故地を占領し、そのまま国家を建立した」という記述があります。この記述によれば、小虢国は、西虢の末裔ではなく、遊牧民族によって建国されたということになります。しかし、この説に対しては、異論も存在します。例えば、歴史学者の張筱衡は、この説を否定的に捉えており、小虢国は西虢の血を引く一族が建てたという説を支持しています。

小虢国の詳しい統治体制や文化については、ほとんど情報が残されていません。しかし、西虢の文化や制度をある程度引き継いでいたと考えるのが自然でしょう。また、周辺の諸侯国との関係についても、詳しい記録は残っていませんが、春秋時代という激動の時代の中で、様々な外交や軍事的な駆け引きがあったものと推測されます。

小虢国の歴史は、紀元前687年に幕を閉じます。秦の武公が小虢国に侵攻し、これを滅ぼしたのです。小虢国の滅亡は、秦の勢力が拡大していく過程における一例として捉えることができます。小虢国の滅亡後、その領土は秦によって吸収され、秦の版図拡大に貢献しました。

小虢国の歴史は、わずか数十年という短い期間でしたが、春秋時代の複雑な勢力関係や、諸侯国の盛衰を考える上で重要な事例と言えるでしょう。特に、西虢との関係や、建国に関する異説は、今後の研究によって解明されていくことが期待されます。

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