小谷村のスキー

長野県 小谷村のスキー

長野県北安曇郡に位置する小谷村は、豪雪地帯であり、その地形的特徴からスキーが村を象徴するスポーツとして根付いています。特別豪雪地帯に指定され、傾斜地が多い地形がスキー場開発を促し、多くのスキー選手を育成してきました。その結果、国内外のスキー大会で小谷村出身者が数多く活躍しています。

歴史

黎明期

小谷村におけるスキーの歴史は、1918年（大正7年）に小谷温泉の山田寛が新潟県赤倉でスキー技術を習得したことに始まります。翌1919年（大正8年）には、新潟県高田市から南小谷村立南小谷小学校に赴任した荒川五郎が、学校に10台のスキーを導入して児童にスキーを教えました。1921年（大正10年）には、中土村立中土小学校でも同様にスキー指導が行われました。大正時代末期には、スキーが一般にも認知され始め、スキーを用いた登山も行われるようになりました。

普及期

1927年（昭和2年）には、南小谷村の青年会がスキー講習会を開催し、1930年（昭和5年）には白馬山麓スキークラブが結成されました。同年に南小谷小学校でスキー大会が開催されるようになり、北小谷村立北小谷小学校や中土小学校でも同様の大会が開かれました。当時、スキーは専門のスキー場ではなく、茅場や畑などの傾斜地を利用して行われていました。1934年（昭和9年）には、日本で初めて文部省体育研究所が主催するスキー指導者講習会が開催され、山田寛もこの講習会に参加しました。1937年（昭和12年）には小谷スキー倶楽部が結成され、1938年（昭和13年）には長野県スキー競技大会に初めて公式参加しました。

戦後

戦後の1951年（昭和26年）には、池の田に隣接する大鹿スキー場で長野県スキー選手権大会が開催され、小谷村でも公式大会が誘致されるようになりました。民宿の増加とともに団体スキー客も増え、昭和30年代には本格的なスキー場が造成され始め、1962年（昭和37年）には小谷スキー学校も開校しました。1965年（昭和40年）と1966年（昭和41年）には、小谷村で全日本学生スキー選手権大会が開催されました。小谷村では、各中学校にジャンプ台が設けられるなど、ジュニア年代からのスキー選手育成にも力が入れられました。

1981年（昭和56年）には栂池高原で全国中学校スキー大会が、1993年（平成5年）には栂池高原で全国高等学校スキー大会が開催されました。さらに、1985年（昭和60年）と1986年（昭和61年）には栂池高原でジュニアオリンピックが開催されました。観光・スキー産業は村の主要産業へと成長しましたが、1994年（平成6年）の約204万人をピークに観光客数は減少に転じました。スキーブームの終焉、地球温暖化による雪不足、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行などが原因で、観光産業全体が落ち込み、村の過疎化に影響を与えています。村は過疎地域持続的発展計画を策定し、スキー場への来場者数増加やジュニアスキークラブへの支援を通じて、スキー活動の振興を目指しています。

スキー場

小谷温泉 スキー場

小谷村で最も歴史のあるスキー場であり、大学生のスキー合宿などに利用されましたが、交通の便が悪く、リフトなどの設備が整っていないため、他のスキー場に役割を譲っています。

栂池高原スキー場

昭和初期から山岳スキー客が訪れ、栂池小屋ができるなどして合宿にも利用されました。戦後の1951年（昭和26年）には栂池高原初のゲレンデが造成され、1953年（昭和28年）には栂池高原で8軒の民宿が営業許可を受けました。1960年（昭和35年）に初めてスキーリフトが建設され、白馬大池スキー場と名付けられましたが、1962年（昭和37年）に馬の背コースが開発された際に、現在の栂池高原スキー場に改名されました。1970年（昭和45年）にはチャンピオンゲレンデと円山ゲレンデが開発され、1982年（昭和57年）には栂の森までのゴンドラリフトが完成しました。このゴンドラリフトは日本初の6人乗りで、4120メートルという長さは東洋一と謳われました。1984年（昭和59年）に栂池シャンツェが建設されたことで、スキー大会の全競技種目を開催できるスキー場となりました。

白馬乗鞍温泉スキー場

白馬コルチナ国際スキー場

小谷村出身の主なスキー選手

深沢香 - 1983年全日本スキー選手権大会女子滑降優勝。
松沢三千代 - 1983年全日本選手権女子大回転、1984年全日本選手権女子滑降・女子回転優勝。
渡辺一樹 - 1986年第41回国民体育大会成年男子一部大回転優勝。
山本直鋭 - 1989年全日本選手権ノルディック複合優勝。
猪又由美 - クロスカントリースキー選手。1992年アルベールビルオリンピック日本代表。小谷村初のオリンピック選手。
井口深雪（小林深雪） - バイアスロン選手。1998年長野パラリンピックで金メダル、2006年トリノパラリンピックで金メダルと銀メダルを獲得。
山田優梨菜 - スキージャンプ選手。2014年ソチオリンピック日本代表。小谷村2人目のオリンピック選手。

参考文献

小谷村誌刊行委員会『小谷村誌社会編』小谷村、1993年。
小谷村編『小谷村過疎地域持続的発展計画書（令和3年度～令和7年度）令和3年9月策定、令和4年3月変更』小谷村、2022年。
山崎義則ほか「長野県小谷村の人口動態に影響を与える諸要因の検討―集落規模の変遷を中心に―」『関東森林研究』第65巻第2号、関東森林学会、2014年、269 - 272頁。

外部リンク

小谷村の3スキー場 - 小谷村
 小谷村観光地域づくりプラットフォーム

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