小辻梅子

小辻梅子：イギリス文学研究と後進育成への貢献

小辻梅子（こつじ うめこ、1938年9月21日 - 2014年）は、日本の英文学者であり、熊本県立大学の名誉教授を務めた。彼女はイギリス文学の研究に深く貢献し、その業績は多岐にわたる著書や翻訳書に結実している。

生涯と学歴

小辻梅子は長崎県で生まれ、1961年に九州大学文学部英文学科を卒業。その後、長崎造船大学（現・長崎総合科学大学）で助教授、教授を歴任し、後に熊本県立大学教授に就任。2002年には名誉教授の称号を受けた。2014年に逝去。

研究内容と業績

小辻梅子の専門はイギリス文学であり、特に20世紀の文学作品やケルト文化に関する研究に力を注いだ。彼女の著書には、イギリス文学の伝統と現代を考察した『イギリス文学の伝統と現代 スウィフト、ジョイス、マードック、スパークを中心に』や、ケルト文化への深い洞察を示した『ケルト的ケルト考』などがある。また、山内淳との共編で『二つのケルト その個別性と普遍性』も著している。

翻訳家としても活躍し、ミューリエル・スパークの作品や、ケルトの民話集などを翻訳・紹介した。これらの翻訳書は、日本の読者にイギリス文学やケルト文化への理解を深める上で重要な役割を果たした。

『ポートベロー通り スパーク幻想短編集』（ミューリエル・スパーク、社会思想社、現代教養文庫） 1990
『ケルト幻想民話集』（訳編、社会思想社、現代教養文庫） 1993
『ケルト妖精民話集』（J・ジェイコブズ編、訳編、社会思想社、現代教養文庫） 1994
『ケルト魔法民話集』（訳編、社会思想社、現代教養文庫） 1995

後進育成への貢献

小辻梅子は、教育者としても多くの学生を育成し、その死後も彼女の遺志は奨学金制度として受け継がれている。九州大学文学部では、2015年度より「小辻梅子成績優秀者奨学金」が創設され、成績優秀な学生を支援している。この奨学金は、文学部の3年生、4年生を対象に、毎年数名の学生に給付される。返済義務がない奨学金制度は、経済的な理由で学業を断念せざるを得ない学生にとって、大きな支えとなっている。

また、熊本県立大学でも、文学部英語英米文学科または文学研究科英語英米文学専攻の学生を対象とした小辻梅子奨学金が設けられており、海外留学・研修を支援している。これらの奨学金制度は、小辻梅子の教育への情熱と、後進育成への強い思いを具現化したものである。

まとめ

小辻梅子は、イギリス文学の研究者として、また教育者として、多大な貢献を果たした。彼女の学術的な業績は、著書や翻訳書を通して今も多くの人々に影響を与え続けている。さらに、彼女の遺志を受け継いだ奨学金制度は、次世代の育成に貢献している。小辻梅子の名は、イギリス文学研究の分野において、長く記憶されるであろう。

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