小野健太郎

小野健太郎（おの けんたろう）は、1978年6月20日生まれ、宮城県仙台市出身の日本の舞台芸術家である。俳優、脚本家、そして演出家として多方面で活動しており、劇団Studio Lifeに所属している。

そのキャリアは、1997年に開催された第10回ジュノンスーパーボーイコンテストでの成功から始まった。総勢10,563名の応募者の中から第4位に入賞し、その存在を知られるようになる。その後、劇団Studio Lifeに入団。劇団の5期生として、同期の5名と共に演劇企画集団Jr.5（ジュニファイブ）を立ち上げた。Jr.5では中心的な役割を担い、旗揚げ以来、上演される全ての作品の脚本および演出を手がけている。

俳優としては、Studio Lifeの本公演に加え、小劇場から大規模な商業演劇まで、実に幅広いスタイルの作品に出演してきた。緻密な心理描写からコメディタッチの役柄までを演じ分ける表現力を持つ。劇団Studio Lifeの同期である姜暢雄、奥田努とは特に親交が深く、劇団内外で「三馬鹿」という愛称で親しまれている。また、酒を好む性質から、多くの演劇関係の先輩たちから可愛がられるといった、親しみやすい一面も持ち合わせている。

脚本家、演出家としての作風は、現代社会に生きる市井の人々、特に様々な困難やストレスを抱えながら日々を送る庶民の姿を、ほろ苦さとユーモアを交えながら深く掘り下げることを特徴とする。人間の繊細な感情や機微に触れながら、「弱者に寄り添う」視点を大切にしており、観る者が少しでも肩の荷を下ろし、救われた気持ちになれるような作品を目指している。過去には、生活保護、加害者家族、若年性アルツハイマー、東日本大震災、孤独死、医療問題、コロナ禍、シングルマザーなど、現代社会が抱える重層的なテーマを意欲的に取り上げてきた。演出面においては、自身も出演経験のある演劇企画集団THE・ガジラの作・演出家、鐘下辰男から大きな影響を受けていることを公言している。

舞台活動は極めて多岐にわたり、自身が脚本・演出・出演を兼ねるJr.5公演以外にも、所属するStudio Lifeの本公演である『トーマの心臓』、『月の子』、『ドリアン・グレイの肖像』、『白夜行』など、劇団の代表的な作品に出演。外部公演としては、ケイダッシュステージ、方南ぐみ、THE・ガジラ、モダンスイマーズ、PLAY/GROUND Creation、新国立劇場関連公演など、数多くの団体の作品に参加している。特にTHE・ガジラの作品には『あるいは友をつどいて』、『ゴルゴン』、『ヒカルヒト』など複数回出演しており、演出家としての自身の基盤にも繋がっている。また、舞台活動のみならず、『毒姫とわたし』、『ここに、幸あり』といったテレビドラマや映画への出演経験も有している。

俳優として舞台に立つ傍ら、主宰するJr.5で自身の世界観を精力的に発信する小野健太郎は、現代演劇シーンにおいて、その多才な能力を発揮し続ける存在であると言える。

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