小野秀雄

小野秀雄の業績とその影響

小野秀雄（おの ひでお、1885年8月14日 - 1977年7月18日）は、日本のジャーナリズムおよびマスコミュニケーション研究の先駆者であり、「新聞学」の確立に寄与した人物です。彼は万朝報などで新聞記者としての経験を積んだ後、大学院に進学し、研究者として活躍しました。東京帝国大学、東京大学、明治大学、上智大学といった名門大学に所属し、特に上智大学では初代新聞学科長としてその礎を築きました。

小野は戦前から戦後にかけて新聞学の発展に尽力し、1949年には東京大学新聞研究所の初代所長に就任しました。東京大学新聞研究所は、彼の努力によって設立され、今なお多くの研究者が活動する場となっています。さらに、1949年には日本新聞学会の設立にも大きく関与し、1951年から1966年まで初代会長としてその発展を見守りました。退任後も名誉会長としてその発展を支え続けました。

経歴

小野は1885年、滋賀県栗太郡草津町で生まれ、父親が立木神社の神主を務めていました。1906年に第三高等学校を卒業し、東京帝国大学文科大学に進学しました。1910年に同校を卒業後、万朝報の記者として新聞界に足を踏み入れ、その後東京日日新聞にも勤務しました。

1919年には東京帝国大学大学院に進学し、新聞学に関する研究を始めました。1923年から1924年にかけて、ドイツ、イギリス、アメリカで新聞学教育の調査を行い、帰国後は教員としての活動を本格化させました。1925年には明治大学に出講し、新聞学概論の講義を担当し始め、1932年には明治大学新聞高等研究科の初代科長に就任しました。

1949年、東京大学新聞研究所の設立に伴い、教授に任命されましたが、当時65歳を超えていました。特別措置として教授となり、翌年まで研究所を指導しました。後に上智大学に移りまで教授として教鞭を取り続け、80歳までその職務を全うしました。

研究業績と評価

小野の研究の中心には近世・近代日本の新聞史がありました。彼は瓦版や錦絵新聞など、貴重な史料を多数収集し、自らのコレクションを形成しました。彼の業績は主に「新聞に関する歴史的研究」と「理論的研究」に分類され、特に前者に多くの著作があります。その中で、戦前のドイツにおける「新聞学 Zeitungswissenschaft」の影響を受けた理論的研究も行っています。

小野は、ジャーナリズムが学問として認められていない時代から、そのための基盤を築くことに挑戦し続けました。彼の指導を受けた多くの研究者やジャーナリストたちが、その遺志を継承し、現在のマスメディア研究に影響を与えています。学会の発展に寄与したことから、1966年には勲三等に叙勲され、長年の業績が評価されました。

小野秀雄の著作

小野の著作は非常に多岐にわたっており、以下のような著作が知られています。

• - 『日本新聞発達史』
• - 『現代新聞論』
• - 『新聞原論』
• - 『新聞の歴史 瓦版から輪転機時代まで』

彼の著作は、新聞学の発展における重要な基盤を成しており、現在も多くの研究者に利用されています。

結論

小野秀雄の業績は、日本における新聞学の確立と発展に欠かせないものであり、彼の研究は今なお多くの人々に影響を与え続けています。彼の努力なくして、現在のジャーナリズム研究の発展はなかったと言っても過言ではありません。

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