小野老

小野老について



小野老（おの の おゆ）は、奈良時代に活躍した貴族であり、歌人としても知られています。彼の経歴や作品、官位に関する重要な情報を見ていきましょう。

経歴


小野老の系譜は明確には判明していませんが、彼は元正朝の養老3年（719年）に正六位下から従五位下に昇叙されました。その後も、翌年の養老4年（720年）には右少弁に任命され、聖武朝の神亀5年（728年）には大宰少弐として大宰府に赴任しました。

神亀5年の約10月頃には、彼は大宰府での政治状況を平城京に報告する役職に就き、翌年には大宰府に戻るまで平城京にとどまっていました。この間、神亀6年（729年）の2月11日には長屋王の変が勃発し、彼もその影響を受けました。昇進の際には藤原氏に近い立場だったため、従五位上に昇進しています。この期間中、大宰府で行われた饗宴で詠まれた和歌が『万葉集』に掲載されるなど、文化的な側面でも重要な役割を果たしました。

その後も、藤原四子政権の元で順調に昇進を続け、天平3年（731年）に正五位下、天平5年（733年）に正五位上、天平6年（734年）には従四位下に昇進。最終的には大宰大弐に任命され、天平7年（735年）には高橋牛養を南島に派遣して、漂着船に関する案内板の設置を行っています。天平9年（737年）6月11日に亡くなるまで、彼は大宰府において重要な役割を果たしました。

和歌作品


小野老の和歌の中で特に有名なのは、次の作品です：

あをによし 寧楽（なら）の京師（みやこ）は 咲く花の にほふがごとく 今盛りなり

（『万葉集』3-328）


この歌は、大宰府少弐に着任する際の饗宴で詠まれたものです。長屋王の変直後に詠まれたことから、ただの平城京の賛美ではなく、背景には複雑な政治状況が隠されているとの指摘もあります。特にその饗宴では、老の作品の他にも多くの歌が詠まれ、政治的な対立が反映されていることが示唆されています。

官歴


小野老の官歴は次の通りです:

このように、小野老は奈良時代の政治や文化において重要な役割を担い、特にその作品や官位の推移から、彼の影響力を感じることができます。また、彼の直系の子供たちについても一部情報が残されており、家系についての研究も続いています。小野老の歌や業績は、彼の時代背景を知る上で欠かせない要素です。

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