小野道好

小野道好の生涯

小野道好（おの みちよし）は、戦国時代の武将であり、遠江国引佐郡井伊谷において井伊家に家老として仕えていました。彼は小野政次（おの まさつぐ）とも呼ばれ、その名は歴史に刻まれています。道好の生涯は、家族や主君との複雑な関係、そして波乱に満ちた出来事に彩られています。

家族背景と家督の継承

道好は、遠江国引佐郡井伊谷を治める井伊直盛の家老である小野政直の嫡男として誕生しました。天文23年（1554年）、父が病に倒れ、道好は家督を継ぎました。政直は井伊一門の井伊直満（直盛の叔父）と対立し、政直の死後は直満の子・直親が帰郷し、直盛の養嗣子に位置しました。これにより、道好は不安定な立場に立たされました。

統治の混乱と対立

永禄3年（1560年）5月、井伊家が今川家の西上軍に従軍した際、今川軍は桶狭間の戦いで織田信長に壊滅的な敗北を喫し、井伊直盛もまた戦死してしまいます。直盛の死の際、道好の家族間での内部抗争は益々激化し、道好は直親との不仲を深めました。道好は井伊谷を横領しようと企て、直親の内通を知ると、駿府の今川氏真に訴えることにしました。

直親の死

永禄5年（1562年）、道好の訴えによって直親は今川氏真への陳謝に向かう途中、朝比奈泰朝によって暗殺されます。道好は直親の死後、その遺児である虎松（のちの井伊直政）も討とうとしましたが、今川家の重臣に阻まれました。その後、井伊家の当主が未だ見つからない状態の中で、井伊谷城は無主の状態になりました。

駿河国の侵攻と道好の横領

永禄11年（1568年）、武田信玄が駿河に侵攻した際、道好は今川軍に従って駿府を守ろうとしましたが、虎松を殺害し井伊谷を掌握しようとしました。これに対抗するため、徳川家康は井伊谷三人衆を派遣して奪還を試み、道好は敗北してしまいます。退去後は近隣に隠れましたが、彼は後に見つかり、処刑されました。

最期とその後

道好は永禄12年（1569年）4月7日、井伊家の仕置き場で処刑されます。さらに、彼の子息2人も続けて処刑され、地元には供養のための石塔が残されています。江戸時代には、彼が悪霊となり、地元の人々に祟りをもたらしたとされ、但馬明神として祀られるようになりました。この伝説は、井伊谷の二宮神社で現存しており、道好の影響は今でも地域に残っています。

文化への影響

道好の物語は、多くの文学やドラマに影響を与えてきました。2017年に放送されたNHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」では、道好が主人公井伊直虎の幼馴染として描かれ、多様な解釈がなされました。また、小説「剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎」でも彼の複雑な人間関係がテーマとされています。こうした作品を通じて、道好は現代においてもその名声や評価が続いています。

小野道好の物語は、戦国時代の武士たちの生と死、成功と失败、そして裏切りと忠義の象徴として、多くの人々に語り継がれています。

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