小錦八十吉 (初代)

小錦 八十吉の生涯と業績

概要

小錦 八十吉（こにしき やそきち）は、1866年11月21日に上総国武射郡、現在の千葉県山武郡横芝光町で誕生しました。本名は岩井 八十吉といいます。彼は高砂部屋に所属し、相撲界で第17代横綱を襲名したことで知られています。

幼少期と相撲への道

小錦は料理屋「岩城屋」を営む家に生まれました。彼の父、岩城川はかつて土地相撲の大関として知られており、息子を力士に育てようと奮闘していました。1881年、父は当時の土地相撲仲間、高見山宗五郎の助けを借りて小錦を相撲界に入門させました。しかし、初めは厳しい稽古についていけず、何度か家に戻ることになりました。そんな彼を支えたのが父の激励で、1883年に再び相撲の道を歩み始めました。彼はそこで小錦の四股名を名乗り、再入門から着実に成長を遂げていきました。

相撲界での成功

小錦は1888年の5月場所で新入幕を果たし、短期間で39連勝を達成しました。この快進撃の間には、合計7回の優勝相当成績を記録し、その力強さを証明しました。1896年には吉田司家から横綱免許を授与され、史上最年少の20代で横綱となりました。しかし横綱昇進後は、全盛期を迎えることなく、優勝相当成績は残せませんでした。師匠である高砂の病気が影響していたのかもしれません。

衰退と引退

小錦の全盛期が過ぎると、より速さを武器にした力士たちが現れ、彼はその中で苦しむこととなります。2000年1月場所での成績は5勝3敗1分でした。同年の4月に師匠高砂が亡くなり、精神的にも辛い時期を迎えます。彼はその後、引退を決意し年寄・二十山を名乗り、自らの部屋を設立しました。

引退後の活動

引退後も彼は髷を結ったまま勝負検査役や取締役として活動し、その誠実さと真面目な性格から多くの人々に支持されました。1914年に彼の師匠が亡くなった後、彼は後継者に内定されていましたが、同年の10月22日に広島で急病に倒れ、惜しまれつつ47歳でこの世を去りました。彼は高砂を襲名する直前での死ということで、歴史には数えられない存在となりました。

人物像と評価

小錦は、その立合いの速さと突き押しで著名でした。一方で、精神面に弱さを抱えており、初日に星を落とすことが多かったため、同じ時代に活躍していた力士からは「小錦と当たるなら初日」という声も聞かれました。また、彼は色白で童顔から多くの支持を受け、時には「荒れ狂う白象の如し」と称されたこともありました。

エピソード

1883年の夏には、巡業中に股擦れで苦しみながらも仲間と共に旅を続けるエピソードが残っています。特に地蔵堂での出来事は、彼の誠実さを示すもので、昇進の際には約束を果たすために5銭を献上することを決意しました。また、明治以降の横綱の中では唯一、手形が残されていない珍しい人物でもあります。

小錦八十吉は、相撲界に多くの足跡を残した重要な存在であり、その逸話や業績は相撲ファンの間で語り継がれています。

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