小関三英

小関三英（こせき さんえい）

小関三英は、江戸時代後期の医者であり、蘭学者として知られています。天明7年（1787年）に出羽国庄内（現在の山形県鶴岡市）に生まれ、天保10年（1839年）に亡くなりました。幼名を弁助、通称を良蔵といい、鶴斎、鶴洲、篤斎などの号を持ちました。

生涯

三英は、当初、長崎でシーボルトに師事したとされてきましたが、近年の研究では、長崎での遊学やシーボルトの門下であったという確証はないとされています。江戸に出た三英は、蘭医である吉田長淑や馬場佐十郎に蘭学を学びました。彼は、コンスブルフの内科書を和訳し、『泰西内科集成』として出版しました。

天保3年（1832年）には、和泉国岸和田藩の藩医となり、後に幕府の天文方において阿蘭陀書籍和解御用、つまり翻訳係として働くことになります。この頃、渡辺崋山や高野長英と親交を深め、尚歯会に参加して歴史や地理について講義を行いました。

蛮社の獄が起こると、三英は崋山や長英が捕らえられたことを知り、自ら命を絶ちました。崋山が「耶蘇伝」を口訳したことを知っていた三英は、連座を恐れたのではないかと考えられています。しかし、三英自身には特に処罰される理由がなく、彼の自害は早計だったという見方もあります。

学問と著作

三英は西洋史にも強い関心を持ち、ナポレオン・ボナパルトを日本に紹介した人物としても知られています。彼の著書には、『西医原病略』や『輿地誌』などがあります。これらの著作を通して、当時の日本に西洋の医学や地理に関する知識を広めることに貢献しました。

主な著書・訳書

『那波列翁伝』（リンデン著）
『新撰地誌』
『西医原病略』
『輿地誌』

墓所

小関三英の墓は、東京都渋谷区原宿の龍巌寺にあります。

参考文献

田中弘之『「蛮社の獄」のすべて』（吉川弘文館、2011年）

登場作品

漫画：みなもと太郎『風雲児たち』（潮出版社、新版リイド社）

小関三英は、激動の時代の中で、西洋の知識を日本に伝えようとした先駆者の一人でした。彼の学問に対する情熱と、不運な最期は、後世に多くの教訓を残しています。

もう一度検索