小鴨由水

小鴨由水について

小鴨由水（こかも ゆみ）は、1971年12月26日生まれの日本の女子長距離走・マラソン選手であり、1992年バルセロナオリンピック女子マラソンの日本代表を務めた著名なアスリートです。兵庫県明石市出身の彼女は、陸上競技との出会いが運命的なものとなり、その後の人生に大きな影響を与えました。1984年に明石市立大蔵中学校に入学後、陸上競技部に加入し、そこでは生涯の恩師である荻野卓と出会い、指導を受けることになります。この出会いは、小鴨が将来の競技者として歩むための基盤を築くことになりました。

彼女は1987年に兵庫県立明石南高等学校に進学し、高校卒業後の1989年には大阪府池田市のダイハツ工業に入社。ダイハツの女子陸上競技部に所属し、陸上の道を本格的に歩み始めました。1994年には龍谷大学短期大学部に入学し、1996年に卒業。現在は福岡市城南区に住み、二児の母として、育児と仕事を両立させています。

経歴と競技人生

小鴨のマラソンキャリアのスタートは、ダイハツ入社から1年半後の1991年の全日本実業団対抗陸上競技選手権大会での女子10000mであり、33分19秒94で10位となりました。1991年の神戸女子20kmロードレースでは、同じくダイハツ所属の先輩選手・浅利純子と競り合い、短い差で敗れましたが、両者のタイムは日本最高記録に迫るものでした。監督の鈴木従道からは、彼女の成績を称賛されたことがきっかけとなり、翌年の大阪国際女子マラソンへの出場を果たします。

1992年1月の大阪国際女子マラソンでは、彼女の初マラソンにして快挙を成し遂げました。レースは厳しいものでしたが、36km地点で浅利が脱落し、その後は小鴨が独走状態に突入。結果、2時間26分26秒で優勝し、当時の日本女子マラソン最高記録を樹立しました。この快挙によって、彼女はわずか20歳で日本女子マラソン界の中心選手となりました。

続いて、彼女はバルセロナオリンピックへの出場権を得ることになりますが、当時の心境について小鴨は「大きな期待やプレッシャーを感じていた」と語っています。また、彼女の代表選出は、同じく日本代表を目指していた松野明美や有森裕子との間での激しい競争に影響を与えました。

バルセロナ五輪

バルセロナ五輪での小鴨は、1992年8月1日に女子マラソンに出場。しかし、事前の高地トレーニングが影響し、不調に見舞われた彼女は万全の状態でレースに臨むことができませんでした。その結果、30位での完走となり、彼女自身も「オリンピックでの完走が何よりも大事だった」と振り返っています。ところがその後、小鴨は「走ることに対する恐れやプレッシャーを抱えるようになった」と述べており、レース後の感情は複雑なものとなりました。

市民ランナーとしての活動

バルセロナ五輪以降、小鴨は陸上競技から一時離れ、1996年には岩田屋陸上部に入団します。その後、一般参加選手という形で2000年の大阪国際女子マラソンに復帰し、8年ぶりにフルマラソンを経験しました。また、子供を持ち、ママさんランナーとして再びマラソン界に挑戦する姿勢も見せています。2007年からは本格的に競技を再開し、様々なマラソン大会に参加しました。

現在の活動

2018年には福岡市議会選挙に無所属で立候補し、障害者福祉の強化を掲げるなど、スポーツで培った経験を地域社会に還元しようとする姿勢を見せましたが、惜しくも落選。その後は非常勤講師としても地域に貢献する活動を続けています。

小鴨由水は、競技者としての栄光のみならず、母親としての顔を持ち、地域社会への貢献を重視した生き方を実践しています。彼女の挑戦の道のりは、多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

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