少年ジャックと魔法使い

少年ジャックと魔法使い

『少年ジャックと魔法使い』（しょうねんジャックとまほうつかい）は、1967年3月19日に公開された東映の劇場用アニメ映画です。この作品は、東映こどもまつりの一環として上映され、イーストマンカラーと東映スコープを用いた長さ80分の作品です。

概要

本作は、13世紀のイギリスに描かれた叙事詩『ベーオウルフ』を参考にしており、少年ジャックが仲間の動物たちと共に、悪魔を蔓延させようとする魔女グレンデル一味に立ち向かう物語です。ジャックは、グレンデルの手下である小悪魔を元に戻すために冒険を繰り広げます。初期の東映動画の特徴が色濃く残る作品で、背景にモダンなデザインが採用され、特殊効果が駆使されています。

仮題は『ふしぎな世界の大冒険』で、東映動画の設立10周年を祝う意味合いも込められています。この作品では、藪下泰次が演出を手掛け、大工原章が作画監督として参加しました。また、音楽は宇野誠一郎が担当しており、彼にとってはアニメ映画への初登板となります。挿入歌の歌詞は、山元護久と井上ひさしによって書かれ、彼らは後に他の東映作品にも関わることになります。

キャスト

主要なキャストには、ジャック役を中村メイコ、魔女グレンデル役を山岡久乃が務めるなど、多彩な声優陣が揃っています。子供たちや動物たちも個性豊かに描かれ、観客の心を掴みます。特に、子犬や子グマといったキャラクターは、物語に温かみを加えています。

音楽と挿入歌

挿入歌には、ジャックの冒険を彩る楽曲が揃い、物語の雰囲気を高めています。中村メイコたちによる「ジャックの唄」や、三十人会が歌う「小悪魔たちのうた」など、歌唱シーンは物語の重要な要素とされています。エピローグでは、魔法が解けた子供たちが朝日を浴びる場面で流れる「おはようのうた」が印象的です。

映像ソフト

本作は、東映ビデオからVHSやレーザーディスクが発売された経歴がありますが、現在はDVDとして再販もされています。廉価版の「名作コレクション」もあり、今でも多くのファンに親しまれています。

制作と技術

この作品のスタッフクレジットは、作品のエンディングでまとめて表示される新しい形式を取っています。また、一部では作画の参考用にクレイモデルが用いられたことも特徴的です。技術的には、特に特殊効果が印象的で、当時の東映動画の技術力の高さを感じさせます。

『少年ジャックと魔法使い』は、アニメーションの発展に寄与した重要な作品として、多くの観客の記憶に残っており、今なお愛されています。

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