就職協定

就職協定（しゅうしょくきょうてい）

就職協定とは、企業と学校が卒業見込みの学生の就職に関して自主的に結んだ協定であり、法律には基づかないものの、当時の経済環境を反映した重要な取り決めでした。この協定は1952年に制定され、1996年に廃止されるまで、日本の雇用慣行に大きな影響を与えました。

1. 制定の背景

日本が戦後復興を遂げ、好況に沸いていたころ、特に朝鮮戦争による特需により企業は人手不足に直面しました。このため、企業は早期に卒業予定者の採用確保を求め、学校側は学生が学業に専念することを妨げないようにしたいと考えていました。両者の意見を調整するため、1952年に「就職協定」が結ばれました。協定は、大学と経済団体、さらには文部省と労働省が共同で進めたものでした。

しかし、協定の遵守は容易ではありませんでした。企業の中には、協定を破って優秀な学生を内々定で採用する「青田買い」が増え、これが議論を呼びました。この抜け駆け行為に対しては、1978年から「注意」「勧告」「社名公表」などのペナルティが設けられましたが、実効性には限界がありました。

2. 協定の変化と廃止

日本の雇用慣行において、就職協定は重要な役割を果たしましたが、中には協定を無視する企業が続出し、特にマスコミなどの企業が協定を遵守していたとされます。1996年には、この協定が廃止され、企業と学校は各自で基準を設けて行動することが求められるようになりました。

その後、日本経済団体連合会は「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」を策定し、卒業学年の10月1日以降に正式な内定を行うことを明記しました。しかし、倫理憲章は具体的な日程を示すことに留まっており、選考活動は元々年次で進められていたものの、協定廃止後は早期化の一途をたどりました。

3. その後の動向

2003年、経団連は「卒業学年に達しない学生に対して実質的な選考を行うことを厳に慎む」という趣旨を盛り込んだ改定を行い、企業に対する行動が他方面にわたって規制されるようになりました。以降、就職活動は年々早くなり、2016年からは広報活動を前年度の3月1日以降、採用選考活動を8月1日以降に行うことが定められました。

4. まとめ

就職協定は、日本の雇用慣行と学生の就職活動に多くの影響を与えました。歴史的な背景や変遷を経て、現在の採用慣行においては、企業と学校の間における協定の形式が変わり、より柔軟な対応が求められるようになっています。卒業生が適切なタイミングで企業にマッチする機会を得ることができるような、円滑な採用環境の整備が今後も期待されます。

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