尹炳世

尹炳世（ユン・ビョンセ、윤병세）は、1954年8月3日生まれの韓国の外交官、政治家です。彼は、第37代の外交部長官を務めました。

来歴

尹炳世は、ソウル大学校法学部を卒業後、同大学院とジョンズ・ホプキンス大学大学院で学びました。1976年に外交官試験に合格し、翌年から韓国外交部で勤務を開始しました。

外交官としてのキャリアの中で、在シドニー総領事館領事、韓国外交部北米1課長、在シンガポール大使館公使参事官、韓国外交部北米局審議官、在ジュネーブ代表部公使、在アメリカ大使館公使など、様々な役職を歴任しました。

2004年には、盧武鉉政権下で韓国国家安全保障会議事務局政策調整室長に就任。その後、外交通商部次官補、大統領秘書統一外交安保政策首席秘書官といった要職も務めました。

2009年からは、西江大学校国際大学院で客員教授として教鞭を執りました。そして、2013年から2017年まで、朴槿恵政権下で外交部長官を務めました。

外交政策

対日政策

尹炳世は、対日強硬派として知られています。2013年4月には、安倍晋三首相が靖国神社に供物を奉納したことを受け、日本訪問を中止しました。

2014年1月には、慰安婦問題を抱える韓国人女性が生活する施設「ナヌムの家」を、韓国外相として初めて訪問しました。この際、「正しい歴史認識が具体的な行動で示されることが必要だ」「日本の方々がさらに努力してほしい」と述べ、日韓の歴史問題における日本政府の行動を強く求めました。

韓国メディアの中央日報は、尹の対日強硬姿勢を「偏食外交」と批判しました。外相就任後、駐韓日本大使との面会を一度も行わず、訪韓した外務事務次官との会談でも無礼な態度をとったと報じられています。同紙は、尹の強硬姿勢は「大統領よりも上を行く」と指摘しました。また、尹は「朴槿恵大統領の忠実なしもべ」とも評されています。

一方で、2015年12月28日には、日本の岸田文雄外相と慰安婦問題に関する日韓合意を結びました。この合意では、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決」されることが確認されました。

備考

2017年2月16日には、G20外相会合に参加した際、AP通信が尹炳世の写真を岸田文雄外相と間違えて掲載するという出来事がありました。

尹炳世は、外交官として長年の経験を持ち、韓国外交の中枢を担った人物です。特に、対日関係においては強硬な姿勢を示し、慰安婦問題などの歴史問題に対して積極的に取り組んだ一方で、日韓合意を締結するなど、複雑な側面も持っています。

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