尻無川 (大阪府)

尻無川（しりなしがわ）

大阪市南西部を流れる尻無川は、淀川水系に属する一級河川です。この川は、大阪市西区を起点とし、港区と大正区の境界を南西に流れ、大阪湾へと注ぎます。流域は、北部には住宅地が広がり、南部は鉄工所などの工業地帯となっています。また、中流域には高潮を防ぐための重要な施設である尻無川水門が設置されています。

地理

尻無川は、木津川と道頓堀川が合流する地点から西に分岐し、岩崎運河を水源とします。そこから南西に流れ、大正内港を分けた後、大阪湾へと流れ込みます。かつては、木津川から分流し、南下して大阪湾に注いでいましたが、改修工事や埋め立てを経て、現在の流路となりました。

歴史

かつて尻無川は、川幅が狭く、船の航行には不向きでした。大正時代に大規模な改修工事が行われ、川幅の拡張や川底の浚渫が実施されました。これにより、船の往来が活発化し、一時的には木津川を上回るほどの利用がありました。しかし、第二次世界大戦後、河口付近の大正内港化工事により、川の様子は大きく変わりました。また、昭和時代には防潮堤が完成し、境川運河以北が埋め立てられ、現在の形になりました。近年では、河川敷と水上部を活用した複合施設がオープンし、新たな親水空間として利用されています。

尻無川の歴史における主な出来事

大正3年～大正5年：尻無川の改修工事。川幅の拡張と川底の浚渫。
大正9年：岩崎運河が開削。
昭和15年：防潮堤が完成。
昭和27年：境川運河以北が埋め立てられ、現在の流路となる。
1969年：河川工事現場で事故発生。
2020年：複合施設「タグボート大正」が開業。

渡船

中流域には、両岸を結ぶ甚兵衛渡船場が設けられており、歩行者と自転車は無料で利用できます。この渡船場は、住民の生活を支える重要な交通手段となっています。

橋梁

尻無川には、複数の橋が架かっています。主なものとして、国道43号線が通る尻無川橋や、かつて有料道路だったなみはや大橋があります。また、埋め立てられた区間には、かつて梅本橋、常盤橋、花園橋、花宮橋、新櫨橋などが架かっていました。

主な橋梁

尻無川橋：国道43号線。
なみはや大橋：旧尻無川新橋有料道路。

流域の自治体

尻無川の流域には、以下の自治体が含まれます。

大阪市西区
大阪市港区
大阪市大正区（左岸）

関連項目

岩崎運河：尻無川の水源。
境川運河
三十間堀川
大正内港：尻無川中流域にある人工港湾。
大阪市の公営渡船
* 尻無川水門：高潮対策のための水門。

尻無川は、その歴史の中で、大阪の発展と共に変化してきました。現在では、住民の生活を支えるだけでなく、親水空間としての役割も担っています。今後も、地域の人々に愛される川であり続けるでしょう。

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