尼崎交通事業振興

尼崎交通事業振興株式会社について

尼崎交通事業振興株式会社（通称ATS）は、尼崎市の近隣地域で公共交通を担当する団体です。1988年の設立以来、地域の移動を支える重要な役割を果たしています。阪神バスの一部路線の運行を受託し、観光バス事業なども行っています。

設立の経緯

発足当初のATSは、尼崎市交通局及び尼崎交通労働組合の出資によって設立され、交通局の運行サポート業務を中心に活動していました。具体的には、洗車や清掃、給油などの業務を担当し、乗客への案内や定期券の販売なども行っていました。しかし、交通局の経営が厳しくなる中、2002年に観光バス事業を引き継ぎ、その後2004年4月からは地域の路線バスの一部を受託運行することになりました。

2004年以降は、阪神バスとの関係が次第に強まる中で、交通局が完全民営化する決定を経て、ATSは阪神バスとの共同運行を続けることとなります。現在も、尼崎市内線の一部路線を受託運行しており、その運行形態は地域の利便性を図る重要な要素となっています。

運行路線

ATSが現在運行している路線には、幹線と地域線があります。幹線はJR神戸線や阪神本線といった主要路線の駅を結ぶもので、11番や13番、13-2番といった路線が阪神バスとの共同運行です。地域線は、市内各駅とその周辺地域をつなぐもので、運行区間の変更や経路の工夫が施されています。

その中で、30番の路線はATSによる管理委託運行となっており、他の多くの路線も阪神バスが担当しています。特に市内の移動を快適にするための工夫が多く見られ、乗客のニーズに応じた柔軟な運行が行われています。

運賃体系

ATSの運賃は、尼崎市内線と同様に均一制を採用しており、支払い方法には現金の他、回数券、ICカード（PiTaPa、ICOCA、hanica）等が使用可能です。普通の旅客運賃は大人230円、小児120円で、全線1日乗車券も発売されており、観光やビジネスで訪れる方にも便利に利用いただけます。

車両の管理

自社の車両は長らく交通局から移籍したものが中心でしたが、2011年には新車が導入され、現在も地域に適した車両の運用を続けています。車体の塗装は交通局と同一ですが、社章や社名の表記が異なるため、見分けやすくなっています。また、ATSの車両は、地域内での役割を果たすために、持続的な運行体制の維持に努めています。

未来への展望

ATSは今後も「社員の雇用保障」を重点に事業を継続していく方針です。最終的には民営化を目指して市からの支援も受けながら、さらなる発展を期待されています。地域住民にとって欠かせない交通インフラの一部として、ATSは今後も市民の移動を支える存在であり続けるでしょう。

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