尼崎戎神社

尼崎戎神社について

尼崎戎神社は、兵庫県尼崎市にある神社で、地元では「尼のえべっさん」として親しまれています。また、別名として倉持戎大宮、または「ちぢみさん」とも呼ばれています。

歴史

神社の創建は非常に古く、醍醐天皇の時代よりも前であるという伝承が残されています。正和年間には、近江坂本の日吉神社に属する一社が尼崎に祀られ、その後、別所町と別所村に分社されました。別所村字内畑（現在の尼崎市西本町五丁目）には戎太神宮が建立され、氏神として祀られました。

その後、戎太神宮は事代主神社を経て、現在の尼崎戎神社へと改称されました。太平洋戦争中には、社地が空襲時の家屋疎開用地に指定されましたが、終戦によって撤去を免れました。

年表

1662年（寛文2年）: 別所村字内畑に戎太神宮が建立（分社）。後に事代主神社と改称。
1873年（明治6年）8月: 村社に格付け。
1948年（昭和23年）: 尼崎戎神社へ改称。
1953年（昭和28年）: 現在の神田中通三丁目へ遷宮。
1958年（昭和33年）: 大鳥居を建立。翌年6月完成。
2013年（平成25年）1月: 社務所が新築完成。

祭神

古代、この地が海辺に近かったことから、漁業航海を守る海の神様として、えびすと同一視された事代主が主祭神とされました。その後、市内の商業・工業が発展してからも、商売繁盛の神様として広く崇拝されています。

また、菅原道真が九州の大宰府へ向かう途中に尼崎に立ち寄り、老松や砂浜の美しい景観に感銘を受けたという逸話にちなみ、学問の神様（天神様）としても祀られています。

本殿: 主祭神は八重事代主大神、配神として大国主之大神、誉田別大神、猿田彦大神
末社: 天照大神、豊受姫大神、天満（天神）様、大宮能女大神（天宇受命）、火産霊大神、塩釜大明神（塩土翁神）
別院社: 高宝院稲荷大明神

祭事

年間を通して様々な祭事が行われています。

1月1日：歳旦祭
1月9日：宵えびす
1月10日：本えびす
1月11日：残りえびす
2月3日：節分祭
4月15日：高宝院稲荷例祭
7月9-10日：夏越の祭
10月中旬-11月30日：七五三詣
12月31日：除夜祭

境内

境内は、南北朝時代以降の戦火や災害によって、社勢が衰退し、分断や縮小を余儀なくされてきた歴史から、「ちぢみさん」と呼ばれるようになりました。現在の社地は、東に向かって細長くなった三角形をしており、拝殿などの建物は西側に寄せて建てられています。

境内の中央には大鳥居が建てられ、周囲には遊具やベンチが設置されており、普段は神田公園として開放されています。

本殿: 木造で一間社流造の檜皮葺。江戸時代末期の建築と伝えられています。
拝殿: 鉄筋コンクリート造・銅板葺で、西向きに建てられています。本殿が納められている奥の覆屋と一体化しています。
末社: 拝殿の北隣に位置し、天照大神や天神様などが祀られています。
別院社: 境内の北側にある、稲荷神を祀る朱塗りの祠です。
社務所: 拝殿の南隣にあり、木造・銅板葺で、住宅を兼ねています。2013年に新築され、内部にはガラス作家の三浦啓子によるステンドグラスが飾られています。
大鳥居: 高さ17m、笠木22m、柱直径1.6mの鉄筋コンクリート造、朱塗りの大鳥居です。以前は「倉持戎大宮」の扁額が掲げられていましたが、現在は外されています。
月像石（つきいし）: 1969年に発見された奇石で、翌年に神社に納められました。参拝者が触れて御利益を祈る風習があります。

交通

鉄道: 阪神尼崎駅下車、西へ徒歩約3分
バス: 阪神バス・阪急バス「阪神尼崎」バス停下車、西へ徒歩約3分、または阪神バス「東難波」バス停下車、南へ徒歩約3分

関連項目

尼崎中央・三和・出屋敷商店街
初嶋大神宮

外部リンク

尼崎ゑびす神社 - 公式サイト
神主Nobbyのブログ- 宮司・太田垣亘世によるブログ
尼崎町（近世） - apedia- 別所町と別所村の地図が掲載されています

もう一度検索